シンガポール、4~6月の日本人訪問者は1万9000人に、感謝の夕べで日本市場の重要性を強調

  • 2022年8月4日

 シンガポール政府観光局(STB)はさきごろ旅行業界関係者やメディアを対象に「シンガポール感謝の夕べ」を開催した。同会では日本支局で7年間北アジア局長を務めたマーカス・タン氏の8月末での退任にともなう交代式が行われ、後任となるセリーン・タン氏が紹介された。

上半期の外国人訪問者は前年同期12倍の150万人

STB国際局副長官ジュリアナ・クア氏

 シンガポールから来日したSTB国際局副長官ジュリアナ・クア氏は、この2年半、パンデミックが世界を変え、旅行業界は厳しい時間を過ごしたとしながらも、シンガポールは4月に国境を再開、日本を含む全ての国々からの観光客はワクチンを2回摂取すれば隔離や検査なしで入国できるようになっていることを説明。これにより、観光客が観光やイベントに参加したり、ローカルと交流したりと日常を取り戻しつつあり、シンガポールの街に活気が戻っているという。

 クア氏は4月の入国規制緩和により、回復の兆しが見えてきたと説明。2022年の上半期にシンガポールを訪れた外国人は150万人を超え、2021年同期の約12倍となった。今年の4月1日に再開してから6月までの3ヶ月間で、1万9000人の日本人がシンガポールを訪問したという。「この数字は2019年の同時期の日本人入国者数の10%にすぎないが、回復に向けた大きな一歩。パンデミックはまだ終わっておらず、住民と観光客の健康と安全を最優先し、新しいウイルスの表面化や公衆衛生が悪化した場合にも備えている」と述べた。

 現在STBではシンガポールに戻ってくることを歓迎する「SingapoReimagine ふたたび旅へ。シンガポール」キャンペーンを展開しており、日本においては、ウルトラマンをイメージキャラクターに起用し、SNSやイベント、広告を通じて展開していることに触れ、「日本市場はシンガポールにとって重要な市場であり、イベントやPRを通じ日本人が戻ることを期待する」と締めくくった。

9月から北アジア局長に就任するセリーン・タン氏

新任のセリーン・タン氏「観光産業を盛り上げていきたい」

 STBでは国際局北アジア局長の8月31日付でマーカス・タン氏が退任し、あらたに9月1日付でセリーン・タン氏が就任する。セリーン・タン氏はSTBに20年在籍、STBのアメリカ局長などを歴任し、直近では小売・飲食業界を統括する部門を担当していた。「再び海外支局で日本からの観光客の誘致に取り組む機会を得られたことをうれしく思う。多くを学び、観光産業を盛り上げていきたい」と日本語で挨拶した。

日本で7年間務めたマーカス・タン氏(上)
真山仁氏からタン氏に花束が送られた(下)

 2015年に着任以来、日本支局で7年間北アジア局長を務めたマーカス・タン氏は実施したプロモーションや日本の旅行業界との交流を振り返りながら、「関係性を大事にする日本の商習慣を学んだことは自分の財産になった」と話した。着任時の2015年には約79万人だったシンガポールへの日本人訪問客数が2019年に90万人近くまで伸びたものの、「100万人にするまでシンガポールに帰らないつもりだったが、コロナ禍で志半ばではあるがそのバトンを後任者につなげたい」と述べた。

 シンガポールの本局に戻ってからは2025年大阪万博のシンガポールパビリオンの担当をする。タン氏の協力のもと、シンガポールと日本を舞台にした小説を10月に上梓する真山仁氏からタン氏に花束が送られた。

 また、シンガポールの最新情報についてSTB日本支局マネージャー吉田明子氏が案内。入国時に必要な書類等もワクチン接種証明とオンラインの出入国カードのみへと簡易化していることを強調した。現地では、室内のマスク着用が必要で、イベントによってはワクチン接種証明の提示が求められることがあるが人数制限は撤廃されている。

 国際イベントも復活しており、9月30日にはF1シンガポールグランプリが3年ぶりに開催される。昨年には展望施設のセントーサ・スカイフェニックス、アメリカ国外初のアイスクリーム・ミュージアム、旧タイガーバームガーデンに地獄博物館などが開業、ホテルの建設も続いており、コロナ禍でも開発が進み、新しいアトラクションができていることをアピールした。