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【デュッセルドルフ現地レポート】バーデン・バーデン、世界で最も美しいカジノへ

  • 2022年8月8日

ドイツのコロナ事情と諸問題

 今年の3月中旬以降ゼロコロナからウイズコロナに突然大きく舵を切った欧州各国につられる形で、全成人のワクチン義務化目前だったドイツも、医療従事者等のワクチン接種義務を除いてほぼ全ての規制が撤廃されています。半年前には2Gルール(ワクチン接種者と回復者以外は店舗や娯楽施設に出入り不可でスーパーマーケットとドラッグストアーのみ入店可)のもと、クリスマスマーケットでワクチンパスポート保持者が買ったものを非接種者に手渡すことまで禁じるという凄まじいまでの政策が取られていたとは信じられない程の、平和なコロナ前の日常に戻っています。

 現在は列車内および地下鉄構内と飛行機内(空港内はノーマスク)のみマスク着用義務が残っているものの、それ以外は全ての規制が撤廃されています。但しこれは8月末までの暫定措置であるため、秋以降の政策がどうなるか、皆戦々恐々としています。

 高騰したエネルギー問題に対しては、6月から8月の期間限定で、月額たった9ユーロでドイツ全土を移動できる切符が発売され、ICE(ドイツの新幹線)やIC(特急列車)以外の列車やバスで乗り継げる限り移動可能という画期的な試みが登場。年間契約をしている定期購入者はこの3か月は定期代が9ユーロに自動的に変更されています。これは凄い! 旅行者も含め誰でも簡単に購入できます。

 ウクライナ問題によりロシアからの天然ガス輸入(ノルドストリーム1)が通常時の20%しかないという壊滅的な状況の中、6月には自動車燃料税が引き下げられ、7月には電気料金に上乗せされている再生可能エネルギー電力助成負担金が半年前倒しで廃止されました。9月には一度のみ大人1人300ユーロの助成金(ただし課税対象)という対策も講じられています。寒い冬に向けて、ノルドストリーム1、2のロシア頼みか、はたまたイスラエルとアゼルバイジャンからの液化天然ガスのタンカーでの輸入が9月から本当に予定通りに機能するか、ドイツの運命の時が迫っています。今まさに背水の陣であるといっても過言ではないショルツ首相の手腕に期待がかかります。

 空の交通については、空港のセキュリティスタッフが極端に不足し、夏のバカンスシーズン真っ盛りの中、連日空港内がパニック状態になっています。大行列で搭乗に間に合わない人が続出して喧嘩になり、警官の導入人数も増える一方。突然のフライトキャンセルも多発し、それに対する補償もなく、預け入れ荷物の紛失はイギリスのみならずドイツも同様で、航空会社に電話しても全く繋がらない事象も長い間続いており、空の旅のリスクとストレスは急なコロナ規制撤廃後の大きな課題となっています。ルフトハンザは7月26日から2日間、全便ストライキを決行しました。安全で快適な空の旅を切に願います。

ドイツの温泉保養地、バーデン・バーデンの魅力

 ドイツでの生活にやっと馴染んできたかなと思い始めたのは人生を半世紀生きてきた後のこと。それにつれてこの国のずっと変わらぬ日曜日と祭日の静寂が何よりも貴重で有難いものとなりました。日曜日と祭日は現在でも頑なに全土の店舗は閉まっており、不便ですが静かにゆったりとした時間が過ごせることは貴重です。キリスト教の教えでは労働とは卑しいものであり、1週間の最後の日曜日はきちんとした服装で過ごし、お昼は教会にお祈りに行き、午後はゆったりコーヒーとケーキを頂く。そんな古き良き時代の雰囲気も顕著に感じられるのが、ドイツの有名な温泉保養地バーデン・バーデンではないでしょうか。

バーデン・バーデンのシンボル的な建物「トリンクハレ」。内部では源泉が湧き出ています

 フランクフルトから約2時間、ドイツ南西部に位置するこの一帯は、シュバルツバルド(黒い森)と呼ばれる温泉保養地。もともとドイツの温泉は王侯貴族の専用物であり、かつてはドイツ皇帝が長く滞在し、ヨーロッパ貴族の社交場としてトルストイやリスト、ブラームスもこの地に移り住んだ歴史のある町です。フランスのアルザス地方ストラスブールとの国境に近いため、建物はどことなくフランスの雰囲気も感じられます。町そのものが巨大な庭園であるかの錯覚を起こすほど念入りに手入れをされた街並みは空気感も穏やかで、「天国ってこんなところなのかな」とふと感じる時間の流れがあります。

1690年創業の薬局

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