出国2000万人時代のパッケージ商品とは-JATA経営フォーラム

  • 2020年4月1日

「個人型フリーパック」でOTAとの協業も可能

JTBの遠藤氏  その後は意見交換を実施。モデレーターの遠藤氏はまず、添乗員付きパッケージツアーが増加傾向にある一方、個人型フリーパックの減少が続いていることについて、「その復権は可能なのか。また、個人型フリーパックでも企画力は生かされるのか」と問いかけた。

 クラブツーリズムの吉岡氏は「お客様が何を求めているのかを考える時に、個人型も添乗付きも変わりはない」と述べた上で、「現地集合型として、部分的にツアーに参加できるような対応を取れば、個人型フリーパックにも企画力が生きるのではないか」と提案した。

 ベルトラの萬年氏は「アフリカのプランではタビナカだけでなく、宿泊も付けると売れる」と同社の実例を紹介。その上で、企画力のある旅行については「OTAと既存の旅行会社が協業できることは沢山ある」との考えを示した。

 ANAセールスの浅田氏は、タビナカのコンテンツを充実させることの大切さを主張。加えて、利用者にはにはDPも含めて「旅程保証の安心感」を改めて伝える必要性を強調した。

オフピークや無名地開拓で需要の分散化を

 パネルディスカッシヨンの最後は、オーバーツーリズムなどで世界的に関心が高まっているサステナブル・ツーリズムの取り組みについて議論を展開。社会的課題に対する観光のあり方について意見交換した。

 クラブツーリズムの吉岡氏は「具体的な取り組みはこれから」と前置きした上で、「観光地にはオンとオフ(の時期)がある。オフにはオフの魅力があるので、アピールして商品化にチャレンジする」と発言。需要の平準化がオーバーツーリズムの解決につながるとの考えを示した。

 ベルトラの萬年氏は、知名度の低い旅先を開拓する必要性に言及。「幸せの形を創るお手伝いをすることが我々の仕事。売れる・売れないよりも、無名なところでも感動できる体験を提供していきたい」と話し、そのことが結果的には旅行者の分散につながるとした。

 ANAセールスの浅田氏は「旅行は平和と健康の産業」と謳った上で、「旅に行ったら健康になれるような商品や、環境にやさしい商品などは追求していきたい」と意欲を示した。

 モデレーターの遠藤氏はパネリストの議論を踏まえて、「社会課題を解決するところに旅行会社の価値がある」と総括。また、JATAのアウトバウンド促進協議会の取り組みとして、今年4月からハワイ島で旅行会社6社が「コナヒロゆうらんバス」共同運行することについて触れ、「協業することで新たな需要の開拓だけでなく、環境保護の面でも貢献できるのではないか」と語った。