トップインタビュー: Cansell代表取締役の山下恭平氏

宿泊予約の売買を仲介、「買い取り」も実施
今後は航空券や飲食店の取扱に意欲

-新たに宿泊予約の買取サービスを開始した理由を教えてください

山下 これまでは宿泊の予約後、2日以内に「Cansell保証」に申し込んでおけば、万が一宿泊しなかった場合に予約を買い取っていたが、買い取りを望む人が想定以上に多かったため、常に買い取りを実施することにした。買い取りにより掲載物件を増やし、来年には月間出品数を数百件規模にまで増やしたい。

 現状は売り手と買い手の間で値段のギャップがあり、出品数に対して成約率が低いのが課題だ。「もう少し安くすれば買う」というお客様はもっといるはずで、我々が値付けを調整すれば成約率は高められると考えている。

 もちろん、これまで通り自分で値付けした宿泊予約を、自分で出品することもできる。買取額はそれほど高くないので、自ら値付けしたい人は出品し、少ない金額でも着実に取り戻したい人は我々による買い取りを選べば良いと思う。我々にとっては、買い取りにより在庫を持つリスクが発生するが、販売力がつけばリスクはあってないようなものだと思っており、心配はしていない。

 例えば宿泊日の前日の地方都市の予約など、販売が難しいものは査定金額を低めに設定するなど、工夫してリスクを軽減している。査定額は1件1件個別に決めているが、ある程度データが蓄積され、値付けの傾向がわかった段階でシステム化し、自動化していきたい。


-ウェブサイトの認知度向上について、お考えをお聞かせください

山下 売り手についてはマーケティングがとても難しいため、今はプレスリリースの配信や、公式サイト上で新サービスを告知している程度で、積極的にアピールしていない。宿泊予約をキャンセルしたい人に対してアプローチしたいが、その人達がどこにいるのかを見つけるのがとても難しい。

 買い手へのアプローチは、現在はソーシャルメディアを活用している。OTAが熱心に広告展開するなど厳しい競争環境にあり、同じ土俵で立とうとするといくら予算があっても足りないので、もっと効率的に、コストをかけずに利用者を増やす方法を検討している。

 これからは他社との事業提携をどんどん進めたい。現在は宿泊施設向けにクチコミ管理システムを提供するTrustYouとのみ提携しているが、今後はメタサーチやOTAとも提携したい。メタサーチについては我々の在庫を掲載してもらうようお願いしている。


-宿泊施設との関係構築についてお考えをお聞かせください

山下 消費者から出品または買い取りが発生した時に、宿泊施設に対しては我々のスタッフが電話で直接、「予約者が宿泊できなくなった場合に、違う人が宿泊していいか」をしっかりと確認している。予約者が両親や上司など他者の宿泊を予約するように、予約者と宿泊者が違うことはよくあるため、宿泊施設から断られることはほとんどない。

 すでに我々のサービスに興味を持ち、「協力する」と言ってくださる宿泊施設も出てきている。今後は我々から主体的に宿泊施設にアプローチし、例えば「Cansell」の宿泊施設紹介ページに施設の公式サイトへのリンクを貼り、宿泊予約の出品がなくても送客できるような協力関係を築いていきたい。その反対に、宿泊施設の公式サイトに「Cansell」のバナーを掲出してもらうことや、宿泊施設の予約確認メールに「万が一キャンセルする場合はCansellへ」といった案内を載せてもらうことができるのではと考えている。