多様化する海外旅行市場で旅行会社の役割は-ツーリズムEXPOより

  • 2017年10月25日

求められる旅行会社の企画・マーケティング力
ミレニアル世代への新しいアプローチも不可欠

チャーター商品に活路、地方市場の活性化にも一役

ワールド航空サービスの松本氏  続いて登壇したワールド航空サービス代表取締役社長の松本佳晴氏は、チャーター便を活用して旅行会社がデスティネーションを開発したことを説明。例として、複数の旅行会社によるウズベキスタンへの共同チャーターの成果について語った。

 同氏によれば、ウズベキスタンのサマルカンドはもともと需要が高く、リピーター率も高いことから送客の手段としてチャーター便の活用を考えたものの、価格が高く採算が取りにくいことから一度は諦めかけたという。しかしウズベキスタン航空(HY)の成田/タシケント線の定期便に着目したところ、搭乗率が低かったことから、定期便の座席を買い取り、行先もタシケントからサマルカンドに変更することを持ちかけた。

 HYからは複数回のチャーターの実施を求められたが、「1社だけで実施するのは難しい」ことから、JTBワールドバケーションズ、阪急交通社、エヌオーイーと協力。16年はチャーターを4本実施し、全便満席となった。17年は6社の協力により関空、中部、福岡、仙台を発地に加えて10本のチャーターを実施。来年は8社が協力し、11本を計画している。この取り組みにより、ウズベキスタンへの日本人旅行者数は15年の6500人から17年は9000人、18年は1万人に増加するという。

 松本氏は、「中小の旅行会社であっても、共同で買い取ることでチャーターの可能性は広がる」と指摘。政府も海外旅行者2000万人の目標に向けてチャーター規制の緩和を進めていることから、有効性を強調した。また、「地元から海外に直接飛びたいという声は多い」ことから、「地方発チャーターは地方市場を活性化させる役割も果たす」と付け加えた。

JTBワールドバケーションズの生田氏  パネリスト3人の提言を受けて、モデレーターでJTBワールドバケーションズ代表取締役社長の生田亨氏は、「旅行会社がデスティネーションの文化的価値の開発を進めていかなければ、顧客ニーズを捉えきれない」と強調。あわせて、「今後間違いなく顧客の中心になってくるミレニアム世代への新しいアプローチや、新しいプロダクトへの投資も必要。つまり、ツーリズムEXPOジャパン2017のBtoB向けのテーマである『創ろう。ツーリズムの新しいカタチ』が求められている」とまとめた。


取材:山田友樹