西豪州、英語を話したくなる教育旅行、SGHやSSH対象に視察実施

「英語を話したくなる環境」を提供

カーティン大学内の様子 SGHやSSHのようなグローバル人材の育成を目的とした学校の教育旅行において、最も重要な要素となるのが「語学研修」だろう。今回参加した高校の教員によると、日本の生徒は「間違ったら恥ずかしい」との思いが強いことや恥ずかしがりであることなどから自分から英語を話そうとしないため、教育旅行先を選ぶ際は「生徒が英語を話したくなる要素」が大切という。

 これに対して、例えば西オーストラリア州のカーティン大学では教室や図書館のほか、屋台などの飲食店、洋服屋、銀行なども設けられ、大学内が1つの街のようになっている。市街に出向く時間がない場合でも授業の合間に買い物などができるため、大学内において日常会話などで英語を利用する機会が豊富だ。

西オーストラリア大学のメインキャンパス また、SSHの教育旅行では「サイエンス」も重要な要素となる。西オーストラリア大学では、すでに語学研修や語学留学などで多くの日本人学生を受け入れているが、今後はサイエンスに注力していく計画。

 例えば今回の視察旅行の直前にも約30名の日本人高校生を受け入れたが、その際は物理学、天文学、工学など幅広い分野の授業を実施した。手配をおこなったゴールドインターカルチュラルラーニングの児玉祐果氏によると、「進路を決めていない生徒が多かったので、色々な分野を学べたことにより、視野を広げることができたと喜んでもらえた」という。また、授業の際は、現地の大学生が「アンバサダー」として日本の生徒の手伝いをおこなったが、これに対しても「自分の英語がアンバサダーに通じて嬉しかった」などのコメントがあったという。


「世界一幸せな動物」のいる島でエコを学ぶ

サイクリングの様子 西オーストラリアには、大学以外の研修先も多くある。例えば、ソーシャルメディアなどで「世界一幸せな動物」と呼ばれ、アニメ「ポケットモンスター」のキャラクター「ピカチュウ」のモデルになったとされる動物「クオッカ」が生息している「ロットネスト島」。港町のフリーマントルからフェリーで約30分の場所に位置し、クオッカや透き通った海などが人気となり、年間で約50万人が訪問する人気の観光スポットだ。

ロットネスト島の風車 しかし、ロットネスト島は観光だけでなく、研修としての要素も多い。例えば、自然保護区に指定されているため、手つかずの自然を体感できるほか、同島は本土に頼らない自給自足をめざしているため、風力発電や太陽光発電、浄水場などの再生可能エネルギー関連施設が多く、「エコ」を学ぶには適している。

 現地ガイドによると、教育旅行の場合はサイクリングで周遊しながら環境について学ぶことが多い。今回の視察旅行でも自転車で再生可能エネルギーの施設を巡ったが、日本ではあまり見ることがない風力発電の風車を間近で見学することができた。また、大自然のなかでのサイクリングは単純にとても気持ちよく、道中ではクオッカに遭遇したりと、研修と観光の両方を1度に楽しめることも魅力の1つだろう。