カナダ各州、相互の協力体制を強化-RVC2016(2)
州や準州が強みを生かして新ルート開発
冬の需要喚起も
オンタリオ州
PEIとの協働で食ツアーを提案
オンタリオ州観光局は、引き続き「食」に焦点を当てたプロモーションを展開していく。日本事務所アカウントマネージャーの田中恵美氏によると、これまでは食のプロモーションとして、同州南部のプリンス・エドワード・カウンティ(PEC)のワインやメイプルシロップなどを中心に紹介してきたが、最近は同地域を巡る旅行商品も増えてきているという。また、他州とのコラボレーションでは、独立した州でもあるプリンスエドワード島(PEI)とのコンビネーションで、グルメツアーも訴求していきたい考え。
冬期の需要喚起では、トロントのクリスマスマーケットや、ナイアガラのアイスワインフェスティバルなどを提案。建国150周年に向けては、ポータルサイト「カナダシアター」を活用しながら、首都オタワを中心に商品化を働きかけていく。
このほか、今年10月に東京で開催予定のトレードショー「フォーカス・カナダ・ジャパン2016」に合わせてセールスミッションをおこない、地方を中心に売り込みを強めていく計画だ。
ナイアガラフォールズ観光局は、今年7月にナイアガラの滝にオープン予定のジップライン「ワイルドプレイ・ナイアガラ」をアピール。「ホーンブロワー・ナイアガラ・クルーズ」の乗り場からナイアガラ・ビハインド・ザ・フォールまでを滑り降りるアトラクションで、滝を空中から楽しむことができることから話題を呼びそうだ。また、ナイアガラ・オン・ザ・レイクでは、日本人スタッフが常駐するワイナリーを中心にツアー化を働きかけていく。
トロント観光局は、PEIとのコンビネーションを提案。「赤毛のアン」の作者であるL・M・モンゴメリは結婚後にトロント近郊に移り住んだことから、ゆかりの場所も多いため、赤毛のアンの舞台であるPEIと組み合わせたツアーの造成を呼びかける。また、6種類の鉄道を組み合わせた「鉄旅」や、従業員の8割が聴覚障がい者のユニークなレストラン「サインズ」も多民族都市トロントの視点でアピールしていく。
プリンスエドワード島(PEI)
新しいフードツアーや醸造所巡りをアピール
15年にプリンスエドワード島(PEI)を訪れた日本人旅行者は前年比で2割から3割減となった。14年のNHKの朝の連続テレビ小説「花子とアン」による需要増の反動が大きいようだが、同州政府観光局日本代表の高橋由香氏によると、FITは減少しておらず、16年についても「FITが増えている」と話す旅行会社は多いという。
訴求ポイントは引き続き「食」。高橋氏は、シャーロットタウンでは日本人でも参加しやすい新しい食のツアーや、訪問可能な地ビールやウォッカなどの醸造所も増えているほか、畜産業が盛んなことからチーズ工場も観光素材として期待できるとした。また、PEIに立ち寄るクルーズに参加する日本人旅行者も増えていることから、特に秋の紅葉シーズンをアピールして需要増に期待をかける。