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なぜ今、旅行にビッグデータが必要か、新時代のマーケティングとは

  • 2014年10月14日

ツーリズムEXPOジャパン業界日セミナーより
節目迎えたアウトバウンド活性化へ、ビッグデータの活用を

旅行マーケティングの変化に対応した活用を

 江藤氏は構造変化に伴い、マーケティングの概念にも変化が生じていることを説明。当初の「顧客に対して企業が何をできるか」から「顧客と企業との関係構築」、そして現在の「顧客との距離を縮めること」に移ってきたという。

 これに関連して江藤氏は、2つの視点で顧客と企業の枠組みと関係性の変化を指摘。旅行マーケティングにおいては、「旅行者(ゲスト)」と「現地の観光局やホテルなど(ホスト)」、その間を持つ「旅行会社やメディアなど(ガイド)」の枠組みは不変だが、その関係性は以前の「顧客志向」(ホストとガイドがゲストに必要だと思うものを提供する)から、「顧客視点」(ゲストからガイドとホストに向かうベクトルを意識する)に代わったという。

 ITやSNSの進展で、ゲストが自分で情報を得て発信できるようになったためで、「顧客から広がる関係性を作ることでBUZZ(クチコミ)が起きる」。そのため江藤氏は「今の旅行会社は従来の旅行代理店ではなく、『旅に行きたい』と思わせる情報を伝える『旅情代理店』になるべき」との考えを披露した。

 もう一つは、旅行者との相対時における「現在」「過去」「未来」の視点の変化だ。以前は「そこにいる『現在』のお客様に売ることが大切だったが、これから必要なのはその人の『過去』を踏まえて『未来』を提案すること。トラベラーとしての人生に寄り添うことが重要になる」と指摘。

 もし「アンコールワットに行ったことがあり、アジアの仏教遺跡に興味がある」という人にコンサルティングをする場合、江藤氏は「自分なら、今までの旅行経験を聞く」といい、そこで「アユタヤに行ったことがある」と言われれば、次のような案内をするという。

 「世界遺産が好きですか。それではまず、インドネシアのボロブドゥールはどうでしょう。アジアの仏教遺跡に魅せられた方に行ってほしいのは、世界三大仏教遺跡のアンコールワットとボロブドゥール、そしてミャンマーのバガン。あと2つで世界三大仏教遺跡を制覇できます。バガンは世界遺産ではありませんが、今年ミャンマーに世界遺産が誕生しましたし、バガンは暫定リストに入っているので近年登録されるかもしれません」。

 江藤氏がトークイベントなどでこのような話をすると、参加者は魅せられたように現在、そして未来の旅行先を想定するという。さらに、2011年に計700万人弱が行っていた中国・韓国が、江藤氏がFacebookで実施した今夏の「行きたい国」アンケートでトップ10にランクインしなかった結果から、カントリーリスクの分散についても言及。「世の中の潮目を見ながらマーケットを作っていく。ビッグデータ時代には未来のマーケットを想定し、顧客を創造することができる」との可能性も示した。