現地レポート:韓国、ソウル&仁川の新デスティネーション

  • 2014年4月22日

従来のメジャー商品に代わる新ツアーを提案
ソウル&仁川の新エリアで歴史と文化を歩く

今を変革の好機に

仁川・チャイナタウン。お馴染みの月餅やコンカルパンなどの食べ歩きも楽しい

 今回の視察旅行では、参加した企画担当者も「初めて訪れる」という場所が多く、全く新しい素材が紹介された。そのためそのままを商品化するのは難しい場合もある。しかし、視察ツアーで日本語ガイドを務めたハンナラ観光の通訳案内士・李美京氏が「ピンとこないところもあるかもしれないが、相談をしてほしい。日本の旅行者に喜ばれるような商品を一緒に作っていきたい」というように、日本側のニーズを提示しながらすり合わせをしていくことが今、日本と韓国の双方に求められていることだろう。

城北洞のコースで提案された吉祥寺。元料亭の敷地を寄進したユニークなお寺

 例えば、視察最終日にはわずかの時間だが、JATA会長の菊間潤吾氏と参加者との会見の機会があった。その際、家具博物館から展望したソウルの城壁の素晴らしさについて菊間氏が発すると、参加した旅行会社から「城壁の上は歩けるのか」という質問が出された。これに対し、KTO日本チーム部長の鄭辰洙氏は、桜や紅葉の季節はすばらしい景観が楽しめると回答し、新たな可能性が見えた。

人々の温かさにより触れられるきっかけも作りたい

 「じっくりと向き合えば新たな面が見えてくる」と菊間氏が言う通り、旅行会社がその良さを案内できる素材がまだ多くある。日本から近く、歴史・文化のかかわりの深いデスティネーションである韓国に、新たな気構えで向き合う時期に来ている。




今年オープン、ソウルの新スポット

東大門デザインプラザ(DDP)。内部はショッピング店舗のほか、イベント、コンベンションなどMICEで使用できるスペースがある

 すでに日本人に人気となっている観光スポットも進化している。東大門では、今年に入って2つの新施設がオープンした。

ホログラムならではのコンサートプログラムが楽しめる

 視察最終日の3月21日にオープンした「東大門デザインプラザ」(DDP)は、2020年に開催される東京オリンピックのメインスタジアム設計予定者のサハ・ハディト氏が設計した建物。曲線で、柱を使用しないという独特の宇宙船のようなフォルムが珍しく、ソウルの新名所となるだろう。見学も可能で、入場は無料。各所の説明をするツアーも実施している。ショッピングやアートの発信地としてだけではなく、建物そのものの観光としても興味深いだろう。

klive内ではコンサートのみならず、IT技術を駆使した様々な仕掛けが楽しめる

 もう一つが、今年1月にオープンしたK-POPのホログラムコンサート会場「Klive」。「カンナムスタイル」で日本でもおなじみのK-POPスター「PSY」がプロデュースしたアトラクションだ。出演アーティストはPSYのほか、BIGBANGや2NE1で、1日4回コンサートを上演。時間ごとに出演の組み合わせを変えているため、1日に2回、3回の鑑賞を希望する人もいるだろう。コンサートにもリアルでは体験できない演出が加えられており、K-POPファンでなくても、若者層にはユニークな観光施設の一つとして勧められそうだ。



取材協力:韓国観光公社(KTO)、日本旅行業協会(JATA)
取材:山田紀子