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MICE事例に学ぶ(2):計画から実施、旅行会社のサポート-非常時対応も

  • 2011年11月2日

台風で旅程が大幅に変更
緊急時の迅速な対応が旅行会社の強みに

JTB香港団体課担当課長の中村英哲氏  実は記者は、9月下旬に出発した第7班の旅行に同行して取材をする予定であった。しかし、台風の影響で第7班は急遽、旅程の変更を余儀なくされた。記者が搭乗した東京発のフライトはダイバードとなり、同行ができなかったほどだ。

 JTB香港の中村氏によると、第7班のフライトは1時間ほど遅延。また、現地では香港の台風警報レベルがシグナル8になったため、会社や学校が休みになり、公共交通機関もストップし、店もほとんどが閉鎖した。香港ディズニーランドも警報のレベルが下がるまで一時休園となったという。

 こうしたなかJTB香港では、出発当日の早朝から香港の気象庁の台風情報を確認し、桜十字グループ側とこまめに情報交換をした。病院側からの、何とか第7班が楽しめるよう、香港ディズニーランドと代案のアイディアを考えてほしい、という要望を受け、ディズニーランド側と細かい部分まで折衝したという。

 香港ディズニーランドに行かずに市内観光をする代案も検討したが、警報レベルが下がり、香港ディズニーランドが夜から再開することになったため、香港到着後にはディズニーランド・ホテルに誘導。今まで6班にわたって利用している実績もあり、ホテルが館内に休憩スペースを用意し、ホットドリンクなども提供してもらえたという。さらに、タオルを使った動物づくり体験も実施した。桜十字グループからは、タオルでの動物作りが食事の際に患者さまに喜んでもらえる、と好評だったという。こうした現地サプライヤーとの細かな調整は、「JTBのもつ現地ネットワークの強み」だと強調する。

 また、中村氏によると、今回ホテルに設置したツアーデスクについても、通常ロビーが狭くなるためホテル側としては実施していないが、交渉の結果、初めて実行できたことだという。同氏は「旅行会社の特権は『緊急時の対応や仕入交渉』」とし、今後クライアントにアピールしていく考えを述べた。

 

取材協力:香港政府観光局
取材:本誌 栗本奈央子