トップインタビュー:NZ日本・韓国地区支社長オーバリー氏

2つの震災を乗り越え、需要も回復へ
冬期には供給量増で再びプラス成長めざす


-現在の旅客数の動向と今後の見通しについてお聞かせください

オーバリー 夏期は通常、成田/オークランド線をボーイングB777型機で週5便、関空/オークランド線をB767型機で週3便運航しているが、今年は両国の地震の影響で需要が急激に減少したため、機種をB767型機に絞り、成田線を関空経由に変更するなど需給バランスに努めた。それによって、日本路線の座席供給量を約24%減らしたが、旅客需要が約27%減だったことから、うまくバランスはとれたと思う。冬期には、成田線をB777型機でデイリー運航、関空線をB767型機で週5便に戻す予定だ。

 また、チャーター便については、昨年から今年にかけて日本各地から13便を運航した。来年も1月初旬から3月にかけて、名古屋から4便、福岡から2便、鹿児島から1便を運航する予定だが、今年の残りの期間はチャーター便というよりも季節ごとの便数調整に注力していくことになるだろう。しかし、チャーター便に対する関心は依然として高い。それがマーケットの回復を示しているとも言えるのではないか。


-日本からニュージーランドへの旅行者数はここ数年年間10万人を割り込んでいます。市場の活性化に向けた取り組みはどのように進めるお考えでしょうか

オーバリー 確かに、ここ10年、日本人旅行者数は減少している。最大の理由は、競争相手となるデスティネーションが多いことだろう。例えば、35万円ほどの予算があり、1週間休暇があれば、ヨーロッパ、エジプト、カナダ、ハワイ、グアム、中国と日本から行けるデスティネーションはたくさんある。ニュージーランド自体はここ10年、何も変わらず美しい国で、空港、ホテル、レストランなどはどんどん改善されてきた。しかし、激しい競争の中、ニュージーランドに目を向けさせるのはなかなか難しい。

 こうした中で、TNZは昨年から「New Zealand 100% Pure」を展開している。しかし、今年からは、自然など伝統的なニュージーランドのイメージに加えて、人にも焦点を当てた「New Zealand 100% Pure You」というスローガンに変更した。自然だけでなく、ウォーキング、カヌー、フード、ワインなどのアクティビティーもプロモーションしていく。日本人観光客からこれまでに多くのフィードバックをもらったが、彼らの心に残っているのは、ニュージーランド人のホスピタリティやライフスタイル。そこで、アウトドアを見るというよりも、アウトドアで何かをすることをプロモーションしていく考えだ。

 なお、現在はTNZとともに「Kia Kaha!」キャンペーンを始めた。地震の被害にあった両国がいっしょにがんばっていこうというキャンペーンで、お互いの絆を深めていく目的がある。特に大震災で心に傷を負った子供たちをサポートしていきたいと思っている。7月の中旬には東北から30人の子供たちがニュージーランドを訪れ、3週間のホームステイを体験した。また、クライストチャーチの地震で多くの方が亡くなった富山の子供たちやレスキューチームに対しても特別な航空券を提供した。NZがこうした活動に供与した額は1500万ニュージーランドドル以上になる。