itt TOKYO2024

現地レポート:中仏・オーヴェルニュ地方、深い歴史と豊かな自然の山岳地帯

  • 2014年5月22日

世界遺産認定予定の山々でハイキング
「フランスで最も美しい村」に宿泊も

オーヴェルニュ地方でグルメを楽しむ
スイーツ学校やチーズ工房も

シャトーを利用したENSPの校舎。外国人留学生には宿舎・食事つきの価格もあり  オーヴェルニュ地方の産業は農業・酪農が9割を占める。山岳地帯ゆえ平野部に比べ農地は少ないものの、ミシュランの星付きレストラン14軒があるという、グルメの地方でもある。特にサン・ボネ村にある3つ星レストランのオーナーシェフ、レジス・マルコ氏はエールフランス航空(AF)の機内食を監修している。

トゥルファードというジャガイモとチーズを和えたオーヴェルニュ料理 また、リヨンから2時間ほどの町、イサンジョーにはパティシエ養成学校「Ecole National Superieure de Patisserie(ENSP)」がある。この学校は銀座にも店を持つ有名シェフ、アラン・デュカス氏が開設したもので、外国人留学生も受け入れている。期間は夏期2ヶ月間、春期3ヶ月間などで、留学素材の一つとして覚えておきたい。レストランではバイキング形式の食事を取ることもできるので、昼食に立ち寄り利用もできる。

チーズ工房「メゾン・ド・ラ・サレール」では工房見学のほかショップも併設  さらに先で紹介したサレール村の近くにはオーヴェルニュの特産、サレール・チーズの工房がある。サレール・チーズは同じくこの地域特産のサレール牛の乳のみを使って作られるもので、5月から10月の間、地域特有のハーブが群生する牧草地帯での放牧で飼育するなど、厳しい品質管理のもとで育てられている。チーズは直径30センチ、厚さ20センチくらいのどっしりとした円筒形で、通常12週間、長くて24週間発酵させ、ハーブの独特の香りもある。工房の見学も可能なので、食に興味を持つSITなどには面白い素材だ。


リヨン空港利用で様々な組み合わせが可能
自然・都会・小さな村を織り込んだツアー造成を

アトラクション「ベロレイル」。クレルモン・フェランから3時間ほどのモーリヤックからマーシャルまでの廃線を自転車のように漕いで進む 山間の陸橋の上も廃線。滝共々ダイナミックなパノラマが楽しめる  オーヴェルニュ地方を巡るルートとしてはリヨンから入り、東回りにル・ピュイ、トゥルネミル村とアンジョニー城、オーリヤックを経由しコンタル地方のサレール村に宿泊したのちクレルモン・フェランに入る方法がある。あるいは、先にクレルモン・フェランを拠点として周辺地域を観光したのち、西回りにサレールなど「フランスの最も美しい村」を巡りつつ、ル・ピュイ方面に抜け、リヨンへ北上するパターンも可能だ。

 山岳地帯とはいえ、道路が整備されているので、大型バスでも移動は可能。クレルモン・フェラン、オーリヤックなどには団体利用の可能なホテルも十分にある。

サレール村。どっしりとした無骨さとかわいらしさが同居する趣のある地で宿泊 火山群がベースとなる素朴かつ雄大な自然はフランスではこのオーヴェルニュ地方だけの独特のものだ。また「フランスの最も美しい村」はバスも少なく、個人で行くにはタクシーの利用となるなど、FITとしてはなかなか行きづらく、まさにツアーならではの素材といえよう。フランスの多様性溢れる地方商品の一つとして、シェヌ・デ・ピュイ火山群が世界遺産の登録候補に上がるという話題性のある今、商品を市場に出すきっかけとなりそうだ。



取材協力:フランス観光開発機構、エールフランス航空
取材:西尾知子