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現地レポート:中仏・オーヴェルニュ地方、深い歴史と豊かな自然の山岳地帯

  • 2014年5月22日

世界遺産認定予定の山々でハイキング
「フランスで最も美しい村」に宿泊も

歴史豊かなクレルモン・フェラン
ミシュラン博物館で近代の歩みを知る

クレルモン・フェランのノートルダム大聖堂。黒い色は溶岩を切り出したため  オーヴェルニュ地方の中心都市はクレルモン・フェランで、火山活動がもたらした大地の上に建っており、人口およそ16万人。世界的なタイヤメーカー、ミシュランの本社がある。町の周辺にはピュイ・ド・ドームのほか独特のロマネスク教会や小さな村が点在し、市内の史跡巡りをはじめ観光の拠点のひとつとなる。

ミシュラン博物館にはビベンダム・グッズがずらり クレルモン・フェランはもともとクレルモンとモンフェランの2つの独立した町で、17世紀に中央集権化をはかるルイ13世の勅令により一つの町に統合された。王権と教会が中心となるクレルモンと、南仏諸侯の町モンフェランは町の性格も違い、分離運動もしばしば起こったが、これを幹線道路の整備により経済的に統合したのが20世紀に誕生したミシュランだった。市内にあるミシュラン博物館は会社の成り立ちから、町とともに歩んできた企業ポリシーも理解でき、なかなか興味深い。日本で人気のマスコットキャラクター、ビベンダムやグッズもあり、ぜひツアーに組み込みたい。

サン・ネクテール教会 また、クレルモン・フェランはローマ時代にカエサルと戦ったフランス史上初のガリア人の英雄を輩出しているほか、1095年「クレルモンの公会議」により第一回十字軍が決定した地として、世界史の教科書でもお馴染みだ。中心に聳えるノートルダム大聖堂は築13世紀の火山の溶岩で造られた教会で、ル・ピュイを始点とするサンチャゴ巡礼道の要衝のでもある。

ファルジュ村の洞窟で作られているチーズ このほか、クレルモン・フェランから南西約20分のところにあるサン・ネクテール村にはロマネスク時代の教会が佇む。独特のアラビア・スターの文様を持つ意匠に加え、内部の柱頭は当時の色彩が残り、山間の趣のある風情を湛えている。この教会の近くにあるファルジュ村では、昼食のとれるオーベルジュや洞窟で発酵させたこの地独特の製法で作られるチーズ工房を見学することも可能だ。



サンチャゴ巡礼拠点のル・ピュイ・アン・ヴレー
「フランスの最も美しい村」に宿泊

ル・ピュイのノートルダム大聖堂 もうひとつ、日本市場向けの有望な素材として挙げられるのはル・ピュイだ。フランスのサンチャゴ巡礼道の始点の一つで、正式名称をル・ピュイ・アン・ヴレーというこの町も火山活動により形成された地である。

こぢんまりとしたトゥルネミル村 町に入ってまず目を引くのは、町中に聳える高さ82mの奇岩、サン・ミッシェル岩だ。山頂にはサン・ミッシェル・ダギュイーユ修道院が建つ。登ることもできるが、徒歩は相当に急なのでシニア客が多いツアーなら下から眺めるに留めたほうがいいだろう。また、世界遺産に登録されたノートルダム・デュ・ピュイ教会もある。教会は白黒の外壁が美しく、内部にはやはり溶岩で作られたという黒いマリア像が安置され、厳かな雰囲気を漂わせる。

アンジョニー城内の礼拝堂。16世紀のフレスコ画のほかタビストリーなど美術品も多数 また、オーヴェルニュ地方には「フランスの最も美しい村」も10か所以上あり、ルートに応じて立ち寄る、あるいは村内のプチホテルに宿泊することも可能だ。例えばオーヴェルニュ地方の南西、カンタル県のトゥルネミル村は同県の主要都市、オーリヤックから45分ほど。村には15世紀に建てられたアンジョニー城もあり見学もできる。城の内部にある16世紀に描かれた礼拝堂のフレスコ画は当時のままの色彩が保存され、非常に鮮やかで一見に値する。

 サレール村は中世からルネサンス時代の面影を残す独特の風情がある。村内のプチホテルを利用することで20人規模の団体なら分宿で滞在可能。静かな山間の村で思い思いの散策を楽しみつつ、のんびりした滞在が楽しめる。