トラベル世界が営業停止、債権者500名規模、負債4億円

  • 2013年7月1日

本社事務所の様子(2013年7月1日撮影) 第1種旅行会社のトラベル世界が6月28日に営業を停止した。7月1日現在で本社事務所は扉を閉ざし、東京地方裁判所に破産申立をおこなう予定である旨の書面を掲出。ウェブサイトは6月30日頃に閉鎖しており、Facebookページも削除済みだ。東京商工リサーチ(TSR)によると負債額は約4億円で、債権者は取引先を含めて約500名といい、出発できないなど旅行者の被害も出ていると見られる。

 トラベル世界は1975年12月創業の老舗で、旅行業登録番号も345番。代表取締役社長の今真純氏は、日本旅行業協会(JATA)の運営役員にも名を連ねていた。欧州や北中南米、中近東、アフリカなどでシニア向けのSITツアーを提供し、同社常務取締役の渡辺孝雄氏が2011年のJATA経営フォーラムで「旅の新しい価値創出で、いきいき旅行業!」と題したパネルディスカッションのモデレーターを務めるなど、付加価値型の旅行業を特徴としていた。

 TSRによると、2000年には年商50億円を計上していたが、東日本大震災の影響や他社との競合により売上が減少し、2012年9月期には11億7000万円まで減少。採算面でも赤字が続いていたという。

 JATAによると、トラベル世界からの報告などはなかったが、7月1日朝になって消費者からの問い合わせが入りはじめ、17時現在すでに数十件に登っている。事務所を訪れていた取引先担当者によると、出発予定のツアーだけでなく催行中のものもあるといい、旅行者への影響は少なくない様子。また、営業を停止した当日にもマダガスカル大使館でマダガスカルセミナーを主催し、7月以降出発のツアー情報を説明していたという情報もある。

 JATAでは現在、ウェブ上でトラベル世界との取引に関する弁済業務保証金制度の案内について窓口を紹介(リンク)。同時に、営業停止などについて情報を収集しているところだ。

 なお、事務所前の書面では、「最近の急激な売上の減少により今後の事業継続が困難」となったとし、「関係者の皆様には、多大なるご迷惑をおかけすることとなり、深くお詫び申し上げます」としている。代理人は五木田・三浦法律事務所の石川雅子弁護士が務めている。