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地域に分け入るJAL社員たち~高知県安芸市編~

  • 2022年5月30日

「ほどよい田舎暮らし」はいかが? 鍵は関係人口の創出


-地域が抱える課題や目標、それに対する取り組みについて教えてください。またその課題のなかで、JALからの出向者の方に期待することは何でしょうか。

 他の多くの自治体と同様に、安芸市も人口減少、少子高齢化による担い手不足が深刻です。あわせて地域のコミュニティ力の低下も懸念されています。安芸市は高知県東部の中核都市で空港にも近く、必要なモノはそこそこ手に入りますし、地方暮らしにありがちなお付き合いもそこそこ、田舎過ぎず都会過ぎず「そこそこなのが心地よいまち」として移住先にお勧めですが、全国的に地域間競争が激化する中、実際に定住しなくとも地域を応援したいと多様にかかわる人々、いわゆる関係人口の創出に向けた取り組みも求められています。

 釣舩さんは、安芸市の地域性を理解したうえで積極的に現場に足を運び、関係機関との信頼関係を構築しています。持ち前の社交性でJALの強みを生かした観光プランのほか、ワーケーションなどの滞在型プランを展開し、安芸市のコアなファンを増やしていただきたいと考えています。

-今後の需要回復も見据えて、コロナ後はどのようなターゲットにどのような商品・素材を紹介していきたいですか。

 安芸市の東部には、藩政の石積みが残る趣ある伊尾木漁港を中心に、夕日の絶景スポット「恋人の聖地」や「河野公園」、神秘の洞窟「伊尾木洞」など、新たな観光地としてのポテンシャルを秘めた資源が点在しています。それらを面でとらえ、既存の周遊ルートの拡充を図るとともに、漁港施設の観光利用に向けてSUPやカヌーなど体験メニューの開発を進め、一般旅行のみならず教育旅行の受け入れも推進したいと考えています。

伊尾木漁港

 現在、伊尾木漁港に隣接する「道の駅大山」の改修を進めており、新たなにぎわいの拠点として、観光客や道路利用者に「わざわざ行ってみたい、立ち寄ってみたい」と興味を持っていただくとともに、訪れた人々に1分でも長く滞在してもらえるような魅力あるエリアを目指しています。来年春のリニューアルオープンの際には是非お立ち寄りください。

300万年の歴史が物語る、神秘の洞窟「伊尾木洞」

-観光事業者や他の自治体と連携して取り組みたいことがあれば教えてください。

 2023年4月から放送されるNHK朝の連続テレビ小説『らんまん』は、日本の植物学の父と呼ばれた高知県出身の牧野富太郎博士をモデルとしており、コロナ禍で低迷する県観光復興の起爆剤となることが期待されます。安芸市にあるボタニカルな空間「伊尾木洞」は、約300万年前の隆起した地層が波によって削られてできた海食洞で、そこに生息する40種類以上のシダ植物は国の天然記念物に指定されています。牧野博士も訪れたとされるこの神秘の洞窟をはじめ、高知県東部のネイチャー系スポットを草花ガイドと巡るコースなどを新たに開拓できればと考えています。

 また、安芸市は三菱グループの創始者岩崎彌太郎や、日本を代表する童謡作曲家弘田龍太郎など、牧野博士と同時期に活躍した偉人を輩出しており、生家や歌碑といった既存の観光資源と組み合わせることで全国からの誘客を目指します。

岩崎彌太郎生家