【スイス現地レポート】ついにエンデミック!規制完全撤廃で、真のウィズコロナ生活
チューリヒにオープンした新施設の情報も
ウクライナ情勢の影響は?
スイスで生活や旅行をする上での影響は特にありません。今のところ、通常通りと言えるでしょう。ウクライナからの移民も一定数いるスイスでは、親戚がウクライナにいる人も多く、トラックで自ら避難先のポーランドまで運転し救援物資を届ける人、その人たちからの物資援助の張り紙などを多数見かけました。4月初旬時点で、2万人の難民を受け入れており、6月までには5万人になると想定されています。スイス政府は、1990年半ばのユーゴスラビア紛争の際に導入した「S許可書」を特例としてウクライナ難民に適用することを決定し、居住、社会保障、そして医療を受ける権利が保護され、更に労働することも許可されます。子供達は学校に通うことも認められ、現在チューリヒ市の公立学校だけでも約200名のウクライナ難民の子供たちが学び始めています。
コロナ禍中にオープンしたチューリヒの注目の新施設
現在、日本からスイスに入国する際には承認されたワクチンの接種証明書が必要になりますが、その他のエントリーフォームなどの書類への記入などはなくなりました。日本へ帰国の際も、検疫所指定の宿泊施設での待機もなくなり、ワクチン3回目の接種証明があれば、入国後の自宅待機期間も不要になっています。現在、ウクライナ侵攻の影響で、各航空会社がロシア上空を飛行しない航路で飛行しています。その関係で、日本とヨーロッパ間は通常よりも飛行時間が長くかかっていますが、それ以外は以前と比べて大分行き来しやすい状況になっています。
そこで今回は、スイス旅行のゲートウェイともなるチューリヒのコロナ禍中にオープンした施設をご紹介します。
チューリヒ美術館
後期ゴシック、イタリア・バロックからオランダ絵画、フランドル絵画、フランス印象派、表現主義、抽象絵画に現代のポップアートまで、各時代を代表する巨匠たちの名画が揃い見どころ多い美術館です。特にスイスの国民的画家フェルディナンド・ホドラーなどスイス人作家の有名作品が充実しており、中でもアルベルト・ジャコメッティのコレクションは世界でも他に類を見ないレベルで揃っています。
そのチューリヒ美術館に、昨年10月新館がオープンしました。新館にはなんと、チューリヒの邸宅美術館で展示され、門外不出とされていた「ビュールレ・コレクション」の貴重な作品が移管されています。世界的にも有名なルノワール、セザンヌ、モネ、ゴッホなどの印象派の作品が多数展示され圧倒されるほど。その中には馴染み深い作品もあり、非常に見応えがあります。新館がオープンしたことで、チューリヒ美術館はスイス最大規模の美術館となりました。
悪天候の週末は混雑が見込まれますが、それ以外は比較的空いています。名画を間近で自分のペースでゆっくり鑑賞することができ、贅沢な時間を過ごすことができるでしょう。チューリヒ中央駅からトラムやバスで約5分とアクセスもよく、館内の導線も分かりやすくコンパクトな作りになっているので、日本出発前や到着後の空き時間に気軽に訪れてみるというのも可能です。
ザ・サークル
チューリヒの空の玄関口、チューリヒ空港が更に進化しています。空港に直結する形で、商業・娯楽複合施設「ザ・サークル」が2020年の11月にオープンしました。場所は、バスターミナルやトラムの停留所の付近で、到着ターミナルからは、バスとトラムの案内を目指して移動し、トラム停を超えたところに位置しています。
この施設の設計と建築を手がけたのは、日本人建築家の山本理顕氏。「空港から徒歩でアクセスできる街」をコンセプトに作られたこの施設は、20万平米(東京ドーム4.2個分)の広さで、ショップやレストランはもちろんのこと、オフィスや医療施設、緑豊かな公園も作られました。
旅行者の視点で注目したいのは、ザ・サークル内に建設された2つのホテル。両方ともハイアット系列で、カジュアルでセレクトサービスが特徴的な「ハイアット・プレイス・チューリッヒ」と、よりラグジュアリーなサービスを提供する「ハイアット・リージェンシー・チューリッヒ」です。通常、スイスの店舗は日曜日休業ですが、ザ・サークル内のショップやレストランは日曜日も営業しています。広大な公園でのお散歩なども可能で、空港ホテルでありながらも、お土産などのお買い物も含めリラックスで有意義な時間を過ごせることでしょう。ザ・サークルの入り口にあるトラム停からは、チューリヒ市内の中心地まで約20分で行けるトラムも発着しているので、市内観光にも適した滞在ができます。
また、もう1つの注目は、大規模なコンベンションセンター。最大1500人収容可能なコンベンションホールをはじめ、15室のミーティングルームも有しており、目的に合わせた様々なイベントやミーティングを催すことができます。金融や製薬業が盛んなスイスにおいて、市内へのアクセスも至便で空港直結のMICE施設として大いに活用されることでしょう。
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