通訳案内士の地位向上へ 「日本通訳案内士団体連合会」設立
通訳案内士団体による初の全国組織として、10月1日付で「日本通訳案内士団体連合会(通団連)」が設立され、このほどメディア向けに会見が開かれた。
通団連は、国家資格である「全国通訳案内士」、及び地方公共団体に認定される地域ガイド「地域通訳案内士」の地位の保全、向上ならびに社会貢献への寄与を設立の目的としており、窓口を一本化することで政府などへの提言機能を強めたい考え。設立時の会員は日本文化体験交流塾(IJCEE)、通訳ガイド&コミュニケーション・スキル研究会(GICSS)、日本中国語通訳案内士協会(CGA)、全日本韓国語通訳案内士会(KGO)、関西通訳・ガイド協会(KIGA)、ひろしま通訳・ガイド協会(HIGA)、九州通訳・翻訳者・ガイド協会(K-iTG)の7団体で、今後20団体の加盟を目指す。会長はCGAの澄川雅弘氏が務める。通団連によると、通訳案内士の実働人数は約1万8000人で、うち約2800人が通団連に参加しているという。
通訳案内士を巡っては、急増する訪日旅客への対処を目的として、2018年に無資格での通訳ガイド業務への従事が解禁された。近年は全国通訳案内士の試験問題が難化して合格率が低下しているといい、コロナ禍による需要低迷も重なり、新たななり手が減少し、廃業も相次いでいる状況にある。澄川氏は「政府は観光立国を掲げているが、このままではインバウンドが戻ってきたとき、通訳案内士が誰もいなくなってしまう」と危機感を示した。
通団連では会見に先立ち、観光庁に向けて通訳案内士への支援を求める要望書を提出。需要が復活するまでの給付金支給や、コロナ禍により縮小した全国通訳案内士試験の受験機会の拡充、試験内容の適正化、学習機会の支援などを求めた。