移動と宿と食の分配率 「事業再構築に向けた勉強会」レポートvol.4
7月の発行人コラムで参加者を募った「事業再構築に向けた勉強会」の様子を5回に渡ってお届けする本企画、第4回のテーマは「何にお金をかけるのか」。オチなし、結論なし! 読んで真似をしてみても、明日から稼げるということは決してない。だが、試行錯誤を重ねながら挑戦を続ける彼らの姿が、何かしらの発見や閃きに繋がることはある……かもしれない。
- vol.1 ぶっちゃけ今の状況は? 旅行者と土地との繋がりはどう変わる?
- vol.2 旅行者がデスティネーションを選ぶのか、デスティネーションが旅行者を選ぶのか
- vol.3 旅を日常に「インストール」する?
- vol.4 移動と宿と食の分配率
- vol.5 「団体さん」を再構築、本気で別事業をやってみた人の話
- オダギリサトシ氏
株式会社インプリージョン 代表取締役
大阪への観光客誘致をする会社の社長兼日本全国の観光まちづくりアドバイザー兼日本中に友達のいる「ふるさと」を作るプロデューサー - 鶴田宏和氏
鶴田ホテル 経営企画室長
別府の老舗旅館の一人娘と結婚して婿入りした人兼音楽イベント企画会社の社長
- 大賀圭一朗氏
サクラbar オーナー
北新地の飲食店店長や色々をしている人 - 高田直也氏
株式会社神姫トラベル 代表取締役
バス会社系列の旅行会社の社長をしている人
- 矢追剛氏
株式会社リベロヴィアッジ 代表取締役
海外業務渡航一筋の旅行会社の社長兼唐揚げ屋の店長をしている人 - ファシリテーター
岡田:トラベルビジョン発行人
【会場】大賀氏がオーナーを務める「サクラbar」(感染対策をした上で実施)
飲食業は変わるのか変わらないのかという議論がだいぶ前からあるんですけど、私は変わらないと思っています。ただ、コロナ前から若干変わってきているとすれば、一部の飲食店では「来てくれてありがとう」スタンスから「お客さんを選ぶ」という風潮に変わりつつあるという点かも。これは「飲食あるある」のブラック企業的なところから抜け出すために、店側が単価を変えて従業員の待遇を良くするために迫られた方針という面もありますけどね。
それはすごく分かる。
最近はSNSもあるから、ご飯を食べるんじゃなくて「写真を食べる」みたいなところがありますよね。SNSで繋がって写真を載せて自慢したい客が増えて、新規オープンした店でもすぐに予約が取れなくなる。それって今までだったら考えられない。飲食店にとってはやりやすいけど、結局のところ美味しいものよりも付加価値を売ることが多くなったのかなと。
日本では多くの飲食店で値段に見合った「美味しい」には出会える。では1人5000円の寿司屋と5万円の寿司屋、口に入るものの価値が10倍かというとそうではないけれど、5万円取れる店の大半は連日満席。明文化できない価値やサービスを提供するために従業員に払いたい給与の額まで含めて値段を設定するわけです。飲食も旅行も価格設定は見直すべきだよね。
本当に食に価値を見出すのであれば、食べるために旅をするという順番があってもいいと思います。実際僕たちは「あの店の寿司を食べに東京行こう」といったら宿は二の次になる。食べる場所の近くに数千円で泊まれるビジネスホテルがあれば、行きの新幹線の中でサクッと取っています。