JTBの黒字化目標はどこまで現実的? ー 20代社員が振り返る今週のニュース
ほとんどの方の想像の通り、JTBグループの連結決算に関する記事が今週1位でした。20年の損失に関してはもはや触れることもないかと思います。今回触れるべくは21年の黒字化目標でしょう。この目標がどこまで現実的なのかです。
旅行事業は19年度対比で40%の売上総利益、旅行外事業を含めても55%の売上総利益を見通しとのことですが、ざっくりとした数値で19年度の売上総利益が2,790億円だったので、55%ということは約1,400億円の売上総利益を見込んでいるということになります。一旦営業外の収益等は今回想定から除いて考えてみると、販管費を1,400億円以下にする必要があります。しかし、2020年度時点で販管費は約2,056億円なのであと600億円程経費を削減する必要があります。JTBは19年に比べて20年は750億円程販管費を削減しているので、感覚的にはいけそうな数値だとは思います。20年は経費削減に乗り出したのは3月以降からでしょうから、その効果が出たのは早くても4月以降だったと考えると、1年間まるごと経費削減の恩恵をうける21年は1,400億円に圧縮することは簡単ではないにしろ、できそうな気がします。ただし、これは売上総利益がJTBの想定通りであればですが。売上総利益の想定が1割下振れすると、それだけで黒字化のために必要な経費圧縮が100億円以上増えるわけですから、結局のところ旅行需要次第です。旅行外事業をいくら伸ばすといっても全体の1/4ですしね。
ここまで書いていてふと思い出しましたが、JTBのバーチャル・ジャパン・プラットフォームは色々な意味で話題になりましたが、今回の会見では触れなかったのですかね。あれの正式な開発費用などは公表されていないようですが、ネットでは何十億円かけたという噂もありました。実際アメリカの有名なVRのゲームは開発費用で100億円以上らしいので、そのくらい掛かっていても不思議はありませんが。しかしJTBグループ程大きな組織できちんと決算書に影響を与える利益を新規事業で生もうとすると、数十億の投資は必要になりそうです。新規事業に投資をしながら黒字化というのがどれだけ難しいことなのか、よくわかります。
旅行需要が戻ってくるかどうか、やはり気にされる方が多いのでしょう。タイの現地レポートも多くの方に読まれました。日本の駐タイ大使がナイトクラブに行きコロナウイルスに掛かったことや、そのことを黙秘していたこと、そして現地で日本人への不満を高めていることは思わずため息がでる思いです。
そしてここにきてタイのコロナ事情が更に悪化しているというのも辛い現実です。ワクチンのニュースが出るまではアジアは欧州や米国に比べれば大分マシで、アジア間旅行は復活も早いかもなんて話もありましたが……
結局のところ、海外旅行が戻るかどうかはワクチン次第なのでしょう。日本でも医療従事者の方々のおかげで、ワクチン接種者が1割を超えました。これが何割になったころに国内旅行が普通に行けるようになるのか、私にはわかりませんが一日でも早くその日が来てほしいものです。