大分県北部地域の観光プラットフォームとしての役割を確立ー豊の国千年ロマン観光圏事務局長堤栄一郎氏

  • 2021年4月21日

地域一帯となった観光を推進
欧米豪に加えて台湾などもターゲットに

-2019年のインバウンド需要に回復するにはどれくらいかかると見ていますか。

 2019年に戻るには最低3年はかかるのではないかと見ています。完全に戻るかどうかの心配もあります。数よりも1人あたりの単価と滞在日数を伸ばすことで現地消費額を増やしていきたいと考えています。

-ウィズ・アフターコロナの戦略についてお聞かせください。

 これまでは欧州、豪州をターゲットとして滞在交流型の観光に取り組んできましたが、このターゲットの戻りには時間がかかるとの予測のもと、台湾などコロナの影響が少ないアジアのマーケットを改めてターゲットに加えました。もともと、この地域では韓国や台湾などからの訪日客が多く、各自治体もそのマーケットへのプロモーションに取り組んできたため、観光圏としてはそこに焦点を当ててきませんでした。

 また、今年度については、歴史文化に加えて、食をテーマにした商品開発も進めていく考えです。農林水産省から国東半島地域が「SAVOR JAPAN (農泊食文化海外発信地域)」に認定され、国東半島・宇佐地域が「世界農業遺産」に登録されていることから、収穫体験や地域ならではの食を生かしたコンテンツを作っていきたいと考えています。

 このほか、DMOとしては、自社アンケート調査の結果や外部調査の結果なども含めて、データを活用した戦略の策定も進めていきます。

-旅行会社との協業については、どのようにお考えですか。

 観光圏が商品を作ってコーディネートし、旅行会社にそれを販売していただく体制は変わらないと思います。直販も増えていますが、限界があります。インバウンドでは特に専門性を持った旅行会社と連携することで、販売を強化できると考えています。

 旅行形態が団体から個人にシフトし、ニーズも多様化しているなかで、通常の観光だけでなく、体験や高級志向などさまざまな旅行者を受け入れるためにも旅行会社の協力は不可欠です。加えて、商品造成においても、顧客ニーズの把握などでアドバイスをもらうことも多いため、どのようなタイプの旅行会社でも、長くおつきあいしていきたいと思っています。プラットフォームとして窓口体制を確立していますので、問い合わせなどにもしっかりと対応させていただきます。

-ありがとうございました。