海外旅行復活に備え、旅行会社が今やるべきこととは?-JATA経営フォーラム
業界全体でコロナ対策プラットフォームの構築へ
デジタル化と顧客を逃さぬ人間力を両立
日本旅行業協会(JATA)は2月26日、「JATA経営フォーラム2021」のオンライン配信を開始した。今年はコロナ禍のため参加費を無料とし、3月末までJATA会員向けに動画を限定公開している。このうち分科会Aでは「海外旅行市場再開と、アフターコロナの旅行商品を考える『コロナ後の海外旅行商品の考察』」をテーマに、旅工房、阪急交通社、ワールド航空サービスの3社の代表がパネルディスカッションに登壇。海外旅行の再開を見据え、旅行会社は今後何に取り組むべきかについて、意見を交換した。
阪急交通社代表取締役社長 酒井淳氏
ワールド航空サービス代表取締役社長 松本佳晴氏
海外旅行再開までの3つのステップ
分科会では冒頭、モデレーターを務めるジャルパック代表取締役社長の江利川宗光氏が議論の前提として、海外旅行が復活するまでの流れを「管理型旅行期(突破口)」「市場回復移行期(ウィズコロナ期)」「平常期(ポストコロナ期)」の3つのステップに分けて説明した。
このうち管理型旅行期は「国などの承認を得た上で海外旅行の再開に最重点を置く」時期とし、海外旅行復活に向けた突破口として、添乗員が旅程管理する「管理型旅行」を実施する旨を説明。管理型旅行はビジネストラックに準じた形で実施するため、行ける国や旅行者は限定される。江利川氏は「世間の皆様から海外と交流について厳しいご意見もあるだろうが、そういう状況でも安心安全を担保して海外旅行の再開をめざすことは、業界全体としての1つのコンセンサスだろう」と語った。
市場回復移行期は海外との交流について世論が二極化するなか、PCR検査やワクチン接種などを実施しながら旅行する時期と定義した。そのうえで江利川氏は「しっかり収益をあげて一定数を海外に送客することで、平常期にもう一度海外旅行ブームを巻き起こし、業界全体の発展につなげられる」重要な時期であることを強調した。平常期については、大半の国・地域の出入国に大きな制約がかからず、世論も海外旅行におおむね前向きになる時期と定義した。