復活のキーワードは「LGBTQ」、ひとりひとりにパーソナライズされたサービスをーグランディスタイル沖縄読谷ホテル&リゾート総支配人 芝原英幸氏
地域とともに未来を考え、観光地としての価値を高める
読谷村ならではの「格好良さ」も発信
芝原 読谷村は不動産収入が占める割合が高く、観光のシェアは5%程度と少ない状況です。例えば恩納村では収入の25%を観光が占めています。まずは観光地としての立ち上がりが必要で、「沖縄の観光を読谷村で完結させる」ことが重要であると考えています。
沖縄西海岸の航空写真を見ていくと、暫くは整備されたビーチが続きますが、嘉手納町から読谷村に入ると一気に天然のビーチに変わります。持論ですが、読谷村には「沖縄が忘れた沖縄」がある。そして多くの方が移住している地域でもありますので、ここに人が移り住む理由など、その魅力をしっかりと訴求していくことが必要です。
そのひとつとしてホテル内ショップを読谷村のアンテナショップと位置づけ、村内のお店の商品を置いています。読谷村にはおしゃれなカフェや雑貨店、焼き物「やちむん」の工房が多いので、その魅力を訪れる方に発信していきたいと考えています。また、これらの店舗は主要道路から外れた場所にあるため、観光客の利便性やSDGsの観点から自転車の利用を訴求しようと、レンタサイクルの基地を村内に作る構想もあります。休館中にはスタッフに街を歩くよう伝え、徒歩や自転車で観光するための地図を作ってもらいました。
読谷村のホテルの総支配人が集まるGM会では、「よみたん彩発見」という企画を立ち上げました。ハワイなどで行われているビジネスモデルを参考に、宿泊客が参加するどのホテルでも朝食をとることができるという連携を進めており、早ければ今年4月には一部を商品として実現することを目指しています。読谷村にも働きかけ、宿泊客が村内で使える地域通貨を使用した行政としての支援策をお願いしました。また、観光協会や商工会に加盟している店舗とも連携し、読谷村全体で企画を盛り上げるべく取り組んでいます。
芝原 読谷村にはやちむんの里があります。アパレルのビームスがフェニカというブランドを立ち上げた際にも取り上げられ、「伝統工芸なのにオシャレ」と情報感度の高い人の間で話題になりました。
そういった従来の沖縄観光とは一線を画す、読谷村ならではの「格好良さ」を発信したいと、4月1日からは備品にやちむんを使ったコンセプトルームの販売を始めます。伝統工芸とデザインホテルで刺激を受けたお客様が生産者を訪れ、読谷村での出会いをもうひとつ作ることで、この地にリピートしてもらうというサイクルを目指しています。
芝原 自分のところが良ければ構わない、という考えではいけないと思っています。形だけのCSRも要りません。地域とともに真剣に未来を考え、観光地としての価値を高め、滞在の単価を上げていきたいと考えています。
今取り組もうとしているのが、これまでにないナイトライフを確立させることです。沖縄の観光地は海外に比べると夜遊べる場所が少なく、それが弱点だとも感じています。例えばレストランでもナイトイベントを誘致したり、音響や照明などを使い、朝と夜とで違う顔を楽しんでいただけるように、自社はもちろん、近隣のホテルや地域と連携してしたいと考えています。
芝原 昨年の第1波の後、お客様から「行っていいですか」という電話を多くいただきました。観光客は歓迎される雰囲気ではないのではないか、という懸念ももっともですが、私は沖縄は何も変わっていないと思っています。地域の方と話をしていても観光客の方に対してネガティブなイメージはありません。もちろんすべての人の声ではありませんが、是非安心して薦めていただきたいと思います。