5月の旅行業倒産はゼロ、支援策や廃業選択など影響か-TSR調査
東京商工リサーチ(TSR)によると、今年5月における旅行業者の負債額1000万円以上の倒産件数は、前年同月比2件減の0件だった。倒産発生件数の減少は5ヶ月ぶりで、0件は7ヶ月ぶり。同月については全業種の総倒産件数が54.8%減の314件で、1964年の282件に次ぐ56年ぶりの記録的低水準となったことから、TSRは新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた全国的な緊急事態宣言により、裁判所や弁護士の業務縮小、政府の資金繰り支援などが倒産件数を抑制したとの見方を示している。
ちなみに同社は、旅行業者の自主的な廃業の件数などについては示していないものの、「旅行業においても倒産が抑制された可能性はあるが、法的手続きを取らない廃業を選択した可能性もある」とコメント。一定数の会社が倒産ではなく自主的な廃業を選んでいるとの見方を示しており、今後は倒産だけでなく休廃業の動向も注視する必要があるとしている。1月から5月までの累計の倒産件数は、増減なしの13件となった。
なお、今年5月における宿泊業者の負債額1000万円以上の倒産件数は、前年同月比6件増の10件。倒産発生件数の増加は3ヶ月連続で、10件台は6年ぶりとなった。負債総額は773.9%増の82億1500万円で、4ヶ月連続の増加。10億円以上の倒産が3件発生し、総額を押し上げた。