ハワイ、五輪種目「サーフィン」でプロモーション展開へ-コロナの影響注視
HTAのCEOが就任後初来日
「レスポンシブルツーリズム」も引き続き重視
ハワイ州の観光戦略管理の司令塔であるハワイ・ツーリズム・オーソリティー(HTA)でプレジデント兼CEOを務めるクリス・テイタム氏が昨年11月の就任後初めて来日し、ハワイが起源とされるサーフィンに焦点を当てたプロモーションを実施することを発表したほか、旅行業界メディアとの記者懇談会をおこなった。
テイタム氏はまず新型コロナウィルスのハワイへの影響について説明。「ハワイの観光ビジネスにとって中国市場のシェアは全体の1%以下で影響は小さい。またハワイ州内では感染ケースはなく、中国以外のマーケットへの影響もない」と現状を報告した。
ただし今後の日本市場についてはハワイ州観光局(HTJ)日本支局長のミツエ・ヴァーレイ氏が「直接的な影響はないものの、空港へ行くこと自体や旅行そのものを回避する動きが出てくることが懸念材料」と指摘。さらに今年はゴールデンウィークの日並びが良くないうえにオリンピックも開催されるため、第2四半期の予約状況に影響が及ぶような事態は避けたいところだという。
18年5月にキラウエア火山が噴火したハワイ島の観光需要の回復状況に関しては、「当初ダメージはあったが、ハワイ島には旅行者を惹きつける歴史や文化、美しいビーチ、自然環境といった多彩な要素があり、19年は噴火前と同等ではないが、かなり回復できた」(テイタム氏)とのこと。また日本市場に関しては、旅行会社6社(JTB、近畿日本ツーリスト首都圏、ジャルパック、日本旅行、ANAセールス、東武トップツアーズ)とアウトバウンド促進協議会によるコナ/ヒロ間の共同バス運行が4月から開始されることも、需要喚起と回復を後押ししてくれるはずとの認識を示した。
さらにハワイ島需要喚起策の一環としてHTJは今年も4月22日から26日まで、「ジャパンサミット2020」をハワイ島で開催し、日本の旅行業界関係者を招待する予定だ。5月にはハワイ島ミッションも来日し、名古屋、大阪、東京で旅行業界向けセミナーや消費者向けイベントも開催する。
このほか、ハワイ州が観光基本戦略として掲げるレスポンシブルツーリズム(責任ある観光)については「ハワイが高いブランド力を発揮し、なおかつ成熟市場でもある日本や米国本土において浸透をはかっている」(テイタム氏)ところ。同時に来島した旅行者への教育も重視し、ホテルや航空会社の協力も得てさまざまな啓蒙活動を実施している。
ハワイ州のレスポンシブルツーリズムについてテイタム氏は、観光産業の持続可能で健全な発展を目指すねらいに加え「次世代の旅行者は環境に敏感であり、若い世代に来てもらうためにも積極的に推進することが重要だ。ハワイがレスポンシブルツーリズムのリードデスティネーションになれるように取り組んでいきたい」と意欲を示した。
五輪種目「サーフィン」でプロモーション、代表候補の五十嵐カノア選手を起用