旅行業倒産、19年は件数・負債ともに過去20年で最少-TSR調査
東京商工リサーチ(TSR)によると、2019年に発生した負債額1000万円以上の旅行業者の倒産件数は前年比2件減の25件となり、2年連続で前年を下回るとともに、1999年以降の20年間では2015年の26件を下回る最少記録を更新した。負債総額は29.9%減の14億2100万円で、こちらも2年連続で前年を下回るとともに、18年の20億2900万円を下回って過去20年間の最少記録を更新した。
負債額5億円以上の倒産は増減なしの0件で、1億円以上5億円未満は4件減の4件。従業員数別では20人以上の倒産が1件減の0件だった一方、5人未満は2件増の20件となった。原因別では「販売不振」22件を含む不況型の倒産が23件で9割以上を占め、小・零細企業が競合の末に行き詰まったケースが大半を占めたという。
期間中には、南米専門の老舗として知られた東京の第3種旅行業者のウニベルツールが、約2億円の負債を抱えて7月31日に東京地方裁判所から破産開始決定を受けたほか、1月8日には大阪の第2種旅行業者のエー・ティー・シーが、負債総額1億7841万円で大阪地方裁判所から破産開始決定を受けている。
TSRは19年の集計に際し「倒産の発生は底ばいで推移し、小・零細規模の倒産に終始している」などの見方を示す一方、事業継続を断念しながらも破産や民事再生などの法的手続きを取らず、倒産集計に含まれない「休廃業・解散」の件数が速報値で123件と、倒産の5倍近く発生していることを指摘。00年以降では18年の127件に次ぐ2番目の多さで、昨年の消費増税や消費者のニーズの多様化などの変化に対応できない中小・零細企業にとって、今年は「厳しい業況となる可能性が高い」とコメントしている。
なお、昨年12月の単月の倒産件数は1件減の2件。負債総額は52.6%減の1億9000万円だった。