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ウェブベッズ、日本での取り組み強化、契約施設との関係重視

ダリル・リー氏 世界2位のB2B宿泊サプライヤーを標榜するウェブベッズ(WebBeds)が日本市場におけるブランド認知度の向上に向けて積極的な取り組みを開始している。同社は豪州のOTAであるウェブジェット(Webjet)の子会社で、自社の仕入れと流通に加えて他社の買収によりこの数年で取扱量を急拡大。昨年からグローバルでマスターブランドとしての「ウェブベッズ」を強く打ち出しており、今回日本でも新たに契約施設への周知に取り組みを始めたかたちだ。

 本誌の取材に応じたウェブベッズ・アジアパシフィックCEOのダリル・リー氏によると、ウェブジェットはもともと「豪州ではJTBやHISのように知られている」企業で「豪州ではナンバーワンのOTA」だが、事業多角化を目的として2012年にウェブベッズを開始。最初は中東で事業を立ち上げ、その後に欧州や米国、アジアにも進出している。

 そしてこれらのグローバル展開の過程では、欧州では南欧の宿泊施設を北欧の旅行業界に供給する専門業者サンホテルズを買収して基盤を手に入れた一方、2015年の米国と翌年のアジアへの進出時には自前で立ち上げ。そして2017年にはジャックトラベル、18年にデスティネーション・オブ・ザ・ワールド(DOTW)とビコのブランドを買収した。「ウェブベッズ」ブランドを前面に打ち出すことは、ジャックトラベルの取得後に決定したという。

 現在のウェブベッズの商売は90%がホテルなどの宿泊で、地上交通や現地観光、アトラクション入場券、鉄道乗車券なども扱っている。また、地域別では欧州が送客先、販売先いずれにとっても最大の市場で、取扱額の5割近くが欧州関連。創業の地である中東では他を圧倒するポジションを維持しているが、最も成長速度の早いアジア太平洋地域はすでに中東を取扱額で上回っており、シェアはそれぞれアジア太平洋が3割、中東が2割程度となっているという。

都内で開催したイベントの様子 また、宿泊の購入者側では1日あたり10万人以上のユーザーがサービスを利用しており、1日1回以上利用する旅行会社の数も2万社を超える。日本でも、HISやホテルスキップ、アップルワールド、旅工房、阪急交通社などがウェブベッズを利用しているという。

 ウェブベッズが扱う宿泊施設は全世界で25万軒を数えるが、このうち直接契約しているのは4万軒。日本では人気の高い約1000軒との直接契約を獲得しており、今回のリー氏の来日では契約施設の担当者を招いて「ウェブベッズ」ブランドを紹介するイベントも開催した。

 リー氏は、今後の日本市場での展開について「直接契約の施設数を2000件、3000件と増やそうとは考えていない」と説明。代わりに、ホテルとの関係強化に集中的に取り組んでいくといい、「ホテルが我々をパートナーとして信用してくれること」を重視していく。

 その一環として、同社が保有する販売データを元に需要変動を予測する「ウェブベッズ・デスティネーション・インデックス」の提供を日本の契約施設にも開始。これは11月に香港で初めて発表、導入したもので、日本は2ヶ国目のサービス提供となることから、リー氏はこの点も日本市場へのコミットメントの表れと語った。