ルックJTB、20年度は欧州とハワイ強化、独自性やニーズ多様化へ対応も

  • 2019年12月5日
遠藤氏

 JTBは12月5日、東京でルックJTBの2020年度商品を発表した。出国者数が初めて2000万人を超えようとするなど海外旅行市場が順調に拡大し、さらに羽田の増枠や関空での欧州路線拡大などの追い風もある一方、香港や韓国などの不安要素があり、さらに航空仕入れのダイナミック化など環境変化もあるが、2020年度を「2021年度の飛躍に向けたブリッジイヤー」として位置付け、「JTB『ならではの価値』の創出」「ニーズ多様化への取り組み」「ヨーロッパ・ハワイの強化」の3点を基本方針として取り組んでいく。2020年度の目標としては、2019年度の見込み比で売上は同程度、人数は7%増をめざす。

 JTB執行役員海外仕入商品事業部事業部長の遠藤修一氏によると、出国者数が4月から10月までの累計で前年比7%増となるなか、ルックJTBの取扱人数は2%増で推移。販売額も前年を上回ってはいるが、遠藤氏は市場全体の動向との乖離について「マーケットの変化に対応しきれていない」と分析。3つの基本方針によって顧客の心を取り戻していく考えを示した。

 「JTB『ならではの価値』の創出」では、OTAとの競合が激化するなかで「いかにOTAにできない価値を提供するか」を重視。ウェブを顧客との接点とし、そこでの情報提供とリアル店舗でのコンサルティングやヒューマンタッチのサービスなどを組み合わせることで、リアルエージェントならではの価値を提供していく。

 また「商品を作り出していく力こそJTBが持つ力」との考えのもと、「JTBにしかできないコンテンツの開発」や「パッケージツアーだからできるサステイナブルツーリズムの推進」に取り組む。「安心・安全」も進化した。

 ニーズ多様化への対応では、欧州のシートインコーチ型バスツアー「ランドクルーズ」のコースを拡充したり現地集合パッケージを設定したりするなど強化。また、「ダイナミックJTB」も、スマートフォンへの最適化などにより販売を強化する。

 そして欧州とハワイへの注力は、欧州については一昨年のシンガポール、昨年の豪州、そして今年のハワイと続けてきた「グローバル・デスティネーション・キャンペーン」を欧州で実施。ハワイは、キャンペーンの成果もあって今年度の送客数が16%増と好調に推移しているところで、2020年度も座席の増加やハワイ島の需要回復など明るい兆候があるなか、「ハワイプライド宣言」として今年度と同規模のキャンペーンを展開し送客数の反動減を避ける考えだ。

 

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