ANAセールスの団体強化策、ウェブ窓口が始動、人材育成も

東京本店顧客販売部顧客販売課課長の川田修一氏 ANAセールスが8月30日、団体旅行への取り組み強化の一環として、ANAウェブサイト上に団体旅行の問い合わせや見積りの依頼を受け付ける窓口を開設した。主導するのは東京本店の顧客販売部顧客販売課。同課課長の川田修一氏によると、ANAセールスでも予約のウェブ化が進んでいるが、団体旅行はこれまで予約センターやグループ内での紹介などオフラインでの獲得に限定されており、新たにウェブサイトにも窓口を設置することで取り扱いの増加をめざす。

 もともと顧客販売部には、予約センターが受けたパッケージツアーでは対応できないような案件や、ANAグループ内で紹介されるグループ・団体旅行を扱う顧客販売課と、全日空(NH)のクライアント企業の経営者などVIP顧客に対応するプレミアムカスタマー課が存在。(現在は部としての戦略策定などを担う業務課も4月に新設。)

 川田氏は、顧客販売課が「もともとは来るものを受ける部署だった」としたうえで、ウェブ窓口について「デジタルを活用したプル型営業を強化していく」と目的を説明。また、窓口設置による利便性の向上だけでなく「お問い合わせに対して1営業日以内にコンタクトを取る」ことで、NHが掲げる旅のブランド“ANAトラベラーズ”でのサービス向上も実現していく。

 ウェブ窓口のコアターゲットは、「企業の団体というよりはウェブサイトで予約をしきれない、途中で離脱してしまっていた10名から20名程度のグループ」で、旅行を検討する際にNHのウェブサイトを訪れる「ANAファン」などのレジャー需要を中心に、移動にバスの手配が必要になったり昼食場所の確保が必要になったりするようなケースで強みを発揮したい考えだ。

 目標としては、その他の施策によるものを含めて取扱額ベースで2020年に2019年比2割増をめざしており、これまでのところ滑り出しは順調。傾向としては、従来は人数ベースで海外が8割、国内が2割であったところから、ウェブ窓口経由は逆に国内が8割となっているという。

 課題としては、ユーザーがパッケージツアーの旅行代金をウェブサイト上で閲覧した後に問い合わせをしてくるために見積もりを提示すると予算と見合わないことがあるといい、川田氏は「入り方には工夫の余地がある」と分析。問い合わせ対応などの体制が整っていけば、ANAマイレージクラブ会員へのアプローチなども検討していく。

 また、川田氏は別の課題として課内の人材育成も挙げる。顧客販売課の特徴は、旅行の企画や提案だけでなく手配から添乗まですべて自分たちでこなすことだが、現在所属する14名のなかには豊富な添乗経験を持つ、あるいは海外に駐在していたスタッフもいる一方、そうした経験が不足しているメンバーもいるところ。

 こうしたなかで「(経験のある社員の)暗黙知を引き出して、ナレッジマネジメントをしっかりやっていく」計画で、添乗にも積極的に同行させて経験を積み、「問い合わせに対してしっかりご提案して受注を重ね、2年、3年と続けていくことでリピーター化を進めていく」戦略だ。なお、川田氏は個人的な夢と断ったうえで、長期的な目標として「会社の利益の1割を稼げる」部署に育てていきたいと意欲を語った。