韓国人48%の大幅減、総数も11ヶ月ぶりマイナス-8月訪日客数
日本政府観光局(JNTO)によると、今年8月の訪日韓国人旅行者数(速報値)は前年比48.0%減の30万8700人となった(7月は7.6%減の56万1700人)。日韓関係の悪化による団体旅行のキャンセルや、訪日客の約85%を占めると見られる個人旅行の新規予約減少、それに伴う航空便の減便・運休が主な要因で、東日本大震災が発生した2011年3月の47.4%減に匹敵する落ち込み。訪日客の総数も2.2%減の252万100人となり、台風や北海道地震の影響を受けた18年9月以来、11ヶ月ぶりの減少となった。
観光庁長官の田端浩氏は9月18日に開いた記者会見で、「予約状況を聞いていたので、これくらいの減少はあると考えていた」とコメント。日韓関係の悪化に起因する理由以外では、韓国の海外旅行需要が昨年7月から減少傾向にあったことや、円高ウォン安、ベトナムなど他のデスティネーションとの競合の激化なども理由として挙げた。9月についても、第1週の韓国系航空会社による日本路線の便数が前年から15%減少するなど、厳しい状況が続くという。
今後については「見通すことは難しい。状況を注視したい」と述べた上で、JNTOのウェブサイトやソーシャルメディアにおける情報発信、韓国側の関係者との連携を引き続き強化する考えを表明。そのほか、このほど仁川で開催された「日中韓観光大臣会合」で日韓両大臣がさらなる観光交流の推進や協力について確認したことについて述べた上で、「今後も努力を続ける」と語った。また、特段のテコ入れ策などは示さなかったが、タイミングを見極めた上で韓国系航空会社と共同で広告を展開することなどに意欲を見せた。
なお、7月に初めて単月で100万人を突破した中国は、16.3%増の100万600人と好調を維持。欧米豪は全市場が増加し、特にスペインは3.8%増の2万人で単月の記録を更新した。中国、台湾、タイ、シンガポール、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、ロシアの15市場が8月の記録を更新した一方、抗議デモが続いている香港と、航空座席量の減少などがあったマレーシアとインドネシアは減少した。今年1月からの累計は3.9%増の2214万4900人。