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観光庁、貸切バス手数料の報告義務化で通達、改正法施行で(1)

  • 2019年8月30日

 観光庁は8月1日から義務化した「貸切バスの手数料記載」について、全国旅行業協会(ANTA)など旅行業団体や日本バス協会に会員への周知を図るよう通達した。手数料が高くなることで、運賃の下限割れや安全対策コストが圧迫されないようにするもので、運送申込書・引受書に「手数料等」を記載することを義務づけた。手数料が多額で運賃の下限割れがあったと判断した場合、貸切バス会社には営業停止命令、旅行会社には業務改善を求める。

「運送引受書」に記載求める

 8月1日に改正されたのは「道路運送法第9条の2第1項に規定する一般貸切旅客自動車運送事業者(貸切バス事業者)運行のバスを利用して旅行を企画・実施する旅行業者等又は旅行サービス手配業者が旅行者又は旅行に関するサービスを提供する者と締結した契約の内容に係る重要な事項について」。

 貸切バス事業者が交付する「運送引受書」に手数料金額を記載するとともに、旅行会社もその記載内容について「十分に確認を行うものとする」というもの。運送引受書に手数料の記載がある場合は、貸切バス事業者と旅行会社の間で締結した契約書面の写しも、契約の有効期限終了以降も1年間保存することを義務づけた。

 国土交通省と観光庁では、2016年1月15日に発生した軽井沢スキーバス事故を踏まえ、事故対策検討委員会を設置し「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」を実施してきた。その後も、実質的な下限割れ運賃の防止に向けた取引環境の適正化を図っていた。

手数料が安全を妨げているとは考えたくないが…
(写真はイメージ)

 今回の改正に伴う観光庁の通達文には、「貸切バス事業者が、運送を申し込む旅行業者等に対して、あっ旋手数料を支払うことは、商慣習上定着している取引」としているものの、「過大な手数料の支払いによって、貸切バス事業者の安全コストが阻害されていると判断された場合は、貸切バス事業者は道路運送法違反に問われるとともに、貸切バス事業者と取引を行った旅行業者等に対しても、旅行業法に基づく業務改善命令の対象となる」としている。

 また、手数料を「広告宣伝費」「協力金」などの名称で取引が行われている場合でも同一であると判断する、とした。

(トラベルニュースat 19年8月25日号)

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情報提供:トラベルニュース社