スクート比留間氏、日本の海旅「まだまだ伸びる」-LCCも成熟へ
まずは認知度向上を最優先、足場固めへ
関空/ホノルル線の再開にも意欲
今年の5月9日、スクート(TR)とノックスクート(XW)の新たな日本支社長に、エバー航空(BR)やエアアジア・ジャパン(DJ)で営業責任者を務めた比留間盛夫氏が就任した。シンガポール航空(SQ)グループのLCCとして、激しい競争が続くアジアの空で成長を続けるTRとXWだが、今後は日本市場でどのようにビジネスを展開するのか。比留間氏に日本支社長としての抱負に加えて、日本路線の現況や課題などを聞いた。
-まずはこれまでの経歴を教えてください
比留間盛夫氏(以下敬称略) 1980年生まれで、2005年に運輸会社のユーピーエス・ジャパンに入社し、トラックドライバーからキャリアをスタートして、その後に貨物専用航空機の地上スタッフを務めた。10年にBRに入社してからは販売促進や営業活動に加えて、台北(桃園)/新潟線などの立ち上げや、成田/グアム間の定期チャーター便などに携わった。14年にはエアアジアX(D7)に入社したが、その後にDJが立ち上がり、コマーシャルチームの集約に伴いDJに移籍してからは、中長距離路線の日本地区営業責任者として主にBtoBの販売チャネルの開拓を担った。
学生時代には海外留学を経験したが、休暇の際には頻繁にLCCを利用し、ヨーロッパではライアンエア(FR)やイージージェット(U2)、アメリカではサウスウエスト航空(WN)などをよく使った。2000年代の前半はまだ日本にはLCCがない時代で、バスや電車のような感覚で飛行機に乗れるLCCは衝撃的だった。この世界を日本でも広める仕事をしたいと思ったのが、航空業界に入った大きな理由だ。
-TRの印象は、入社の前後で変わりましたか
比留間 BRに在籍していた頃、TRとは日台路線で競争関係にあった。当時のLCCについては「狭かろう、安かろう、悪かろう」という先入観があったが、ライバルとして見ると、TRは最新のB787型機で運航しており、「プロダクトが良い斬新なLCC」という印象だった。TRに入社してからも、そのイメージに違いはなかった。
-新支社長としての抱負をお聞かせください
比留間 現在のTRにおける最優先の課題は、BtoBとBtoCの両方において認知度を向上させることと考えているので、並行してそのためのアプローチを進めたい。BtoBのチャネルで商品を並べていただければ自然に露出が増え、結果的に認知度も上る。認知度が上がれば、BtoCのチャネルから入ってくるお客様も増えていくだろう。
日本人のパスポート所持率はまだ25%程度しかないが、逆に言えば日本の海外旅行市場には、まだまだ伸ばせるポテンシャルがある。TRも旅行会社や観光局と協力して、市場の開拓に取り組んでいきたいと思う。