全日空、A380は好調な滑り出し、「座席も予約も1.5倍」
全日空(NH)代表取締役社長の平子裕志氏は5月29日に開催した定例記者会見で、24日にA380型機「FLYING HONU」の使用を開始した成田/ホノルル線について「前年比1.5倍の提供座席数に対して1.5倍の予約を頂戴している」と語り、滑り出しが好調であることを伝えた。あわせて「私どもが提供する新しいハワイの楽しみ方に、多くの方々が期待されていることを実感しており大変嬉しい」とアピールした。
平子氏は「この傾向が一過性のものとならないよう、お客様には新たな体験を提供できるよう工夫を重ねたい」とも述べ、今後もプロダクトなどの品質向上に努める考えを強調。「座席の出来の良さを実感しているが、手は緩めないでいきたい」と意欲を示した。「FLYING HONU」は全520席のうちエコノミークラスの後方6列には、新たな試みとして3席または4席をつなげて利用できる「カウチシート」を設けている。
また、「ハワイ州とは末永いおつきあいをさせていただきたい」と述べ、今秋には現地で大規模音楽イベントの開催を予定しており、あわせて植林やビーチ清掃などの社会貢献活動も計画していることを説明。日本航空(JL)が運航中のコナ線を開設する可能性については「今のところはA380型機で運航することは考えていない。(ホノルルとは)需要の差が歴然としているので、まずはホノルル線を成功させたい」と答えた。
なお、「1.5倍」は今年度の上期に関する数字で、7月の2号機導入によりA380型機による運航便数が現在の週3便から週10便へと大幅に増える下期の座席数は、前年の2倍以上となる見込み。現時点での予約状況は「年末年始などはすでにかなりの予約が入っているが、平日については見通せていない」という。
そのほかには、今後の国際財務報告基準(IFRS)への移行を見据えて、マイレージポイントの償還を進めるにあたり、A380型機を導入した同路線を「好例にしたい」と語った。「航空会社にとってマイルは“負債”で、IFRSではその負債が全額認識される。また、ホノルル線の搭乗率は90%なので、これまではマイルでハワイに行くことが難しかったが、行けるお客様は格段に増える。会計上の観点からも、お客様にとっても良いこと」という。