韓国の「リーディングLCC」、チェジュ航空が取り組む新たな差別化

  • 2019年5月23日

座席2クラス制や仁川自社ラウンジなど計画
韓流スターの東方神起によるアピールも継続

李氏  日韓路線は現在、FSCに加えて多くのLCCがひしめき合い、激しい競争が繰り広げられている。参入する韓国系LCCはすでに6社を数えるが、そのなかで大きな存在感を示しているのが今春で日本就航10週年を迎えたチェジュ航空(7C)で、豊富な路線や便数、韓流スターを起用してのイメージ戦略などで高い認知度を誇る。日本市場におけるこれまでの歩みや今後の展開について、日本地域を統括する東京支店長の李炳東(イ・ビョンドン)氏に話を聞いた。

-まずは7Cの概要について説明をお願いします

李炳東氏(以下敬称略) 設立は2005年で、現在は拠点とするソウルの2空港(仁川・金浦)を含む、韓国の8空港から定期便を運航している。このうち国際線に関しては日本、中国、台湾、フィリピン、タイ、ベトナム、ラオスなど東アジアや東南アジアの主要都市を中心に、グアム、サイパン、ロシアなども含めて73路線に就航している。

 従業員数は今年3月の時点で約3000人に上る。機材はB737-800型機を42機保有しており、今年中にもう3機から4機程度増える見込みだ。韓国の航空会社のなかでは、国際線・国内線ともに旅客数ベースで第3位となっているが、上位2社はFSCなので、韓国のLCCでは最も成長している「リーディングLCC」であると自負している。

 国際線に関しては、09年3月に就航した関空/仁川線が最初の路線で、今年3月には日本就航10周年と国際線就航10周年を迎えた。国際線の供給座席数は日本路線が最も大きく、路線別では関空路線が最も多い。関空就航後は、成田、中部、福岡、新千歳、那覇、松山、静岡、季節運航の鹿児島と就航都市を増やしており、この10年間における日韓の観光交流の急拡大に貢献してきたと言える。

 最近は日韓ともに地方空港への路線強化をはかっており、昨年は鹿児島/仁川線や関空/務安線などに就航した。今年は3月31日に成田/務安線のデイリー運航を開始しており、5月10日には静岡/仁川線にも就航した。

-日本路線の現況について教えてください

 日本路線は大変好調で、年間のロードファクターは約90%に上り、特に関空路線は90%を超える。日本人と韓国人の割合は、現在は訪韓日本人よりも訪日韓国人旅行者の方が多いことを反映して、やはり全体的に韓国人の比率が高い。特に釜山、大邱、務安路線など韓国の地方からの路線では6割から8割近くを占める。

 とはいえ路線や時期によって状況は異なり、競合する会社が少ない中部/仁川線は平均して5割から6割が日本人で、春休みシーズンの3月については8割を占めた。成田/仁川線も3月は5割以上が日本人だった。