シンガポール、劇場版「コナン」をトリガーに-副長官来日
4月12日から全国で公開される人気アニメ「名探偵コナン」の劇場版「名探偵コナン紺青の拳(フィスト)」の舞台に、海外では初めてシンガポールが選ばれたことを受け、先頃都内で開催された完成記念試写会に、シンガポール政府観光局(STB)副長官のチャン・チーペイ氏が来日した。本誌の取材に答えたチャン氏は、日本人旅行者の消費額の高さなどについて改めて強調した上で、今後の旅行者数拡大に期待を示した。
同国は訪れる日本人旅行者数は、2013年に83万2845人を記録し、以後80万人前後で推移。JTBが全社を挙げてデスティネーション・キャンペーン実施した17年は前年比1.2%増の79万2813人となり、18年も4.6%増の82万9664人と増加傾向にある。
18年の第3四半期までの日本人1人当たりの消費額は4.1%増の1320シンガポールドル(約10万8000円)。チャン氏によれば、日本は同期間における外国人旅行者数の順位では6位にとどまるものの、消費総額では4位で「消費額の高さは非常に魅力的。STBでは日本を主要6市場のうちの1つとして捉えている」という。
チャン氏は17年のJTBによるキャンペーンについては「非常に効果的だった」と振り返り、18年にはデザイナーの山本耀司氏とシンガポール人写真家のレスリー・キー氏によるコラボレーションなど、シンガポールの「クールな面」もアピールしたことを説明。「いかに日本人をシンガポールに引き付け、つなぎ止められるかを考えた」と振り返った。
19年については国ごとの目標数は設けておらず、外国人訪問者の総数として、1870万人から1910万人の範囲を見込む。日本人については「現在、外国人訪問者の約5%のシェアを占めており、その割合を維持していきたい」という。
映画「名探偵コナン紺青の拳」については、子供から大人まで幅広い世代に人気が高く、シンガポールでの「聖地巡礼」などが期待できるという。すでにシンガポール航空(SQ)がタイアップキャンペーンを実施しているほか、エイチ・アイ・エス(HIS)は映画の舞台を巡るコースを盛り込んだ商品を販売している。
STBはこれまでも、ハリウッド映画「クレイジー・リッチ!」など、シンガポールが舞台のさまざまな映画に協力。「映画などのコンテンツは非常に重要なピーアールツールの1つ。当局ではさまざまなメディアで情報を発信してシンガポールの認知度向上に務めており、それらがトリガー(引き金)となることを期待したい」と話すチャン氏は「名探偵コナン」にも大きな期待を寄せる。
チャン氏は、旅行会社に対しては「言葉の壁などを感じる消費者にとって旅行会社は重要な存在」と語り、「シンガポールは日本から近く、さまざまな層に提案できる魅力がある」とアピール。「旅行会社の方々も常に変化しているシンガポールを訪れて、情報をアップデートしていただききたい」と呼びかけた。