春秋航空日本、国際線を積極展開、「中国系の強み」で
JALへの整備委託で運航品質が改善
次期中計期間で黒字化めざす
-路線拡大に向けて、機材計画ははどのように進めますか
樫原 現在のところは6機のB737-800型機のうち、5機で全便を回している。まずはこの6機をフル稼働させ、体制が整えば7機目の導入を検討する。中期経営計画では、20年から21年にかけて導入する計画を盛り込んでいる。
-航空券流通の現状をお聞かせください
樫原 国内線については予約の70%ほどがウェブ直販で、残りがOTAとオフラインの旅行会社経由となっている。国際線はウェブ直販が45%、OTAが5%、オフライン旅行会社が5%ほどだ。最近は中国人旅行者のFIT化とリピーター化によって直販が増えており、今後も右肩上がりに増えるのではないかと見込んでいる。
旅行会社とのパートナーシップについては、Win-Winの関係になれればいいと思っている。運航体制が安定し、旅行会社からの信頼感も上がっているので、今後は一緒に商品を造っていきたい。旅行会社には企画力などをお借りして、ブランド力を高めていければと考えている。
国際航空運送協会(IATA)が進めているNDCについては、取り組みはまだ何もおこなっていない。IJはインフィニ・トラベル・インフォメーションの「LCCサーチ」に連結しているが、NDCについてはその状況を見極めての対応になるだろう。
-日本での知名度向上に向けた取り組みをお聞かせください
樫原 中期経営計画のなかでも、ブランディングの強化を謳っている。LCCのビジネスモデルでは、広告に莫大な予算を投じることはできないが、異業種との協業などで知名度を上げていくことなどは考えられるだろう。また、就航地の自治体との協力にも引き続き力を入れたいと思っている。
-今後の日本航空(JL)との関係についてもお聞かせください
樫原 現在は整備に加えて、運航の安定化においてもJLからの出向者にサポートしていただいている。また、人材育成や、安全に関する文化の醸成のために、JLの「安全啓発センター」の見学なども実施している。今後は集客も含めて、戦略パートナーとしてさまざまな面で協力関係を深化させていきたいと考えている。
-これまでにJL、ジェットスター・ジャパン(GK)、スカイマーク(BC)に在籍されていますが、LCCの未来をどのようにお考えですか
樫原 LCCは、FSCとの差別化のなかで新しい需要を掘り起こしてきた。LCCの登場によって人と物の流動が増えているのは事実で、今後も下火になることはないだろうし、日本を含むアジアではまだまだ伸びる余地があると思っている。
ただ、LCC間の競争もますます激しくなるだろう。日本の航空会社は中国の空港発着枠の確保で苦戦するが、IJは中国系のLCCなので、中国路線の展開では大きな強みを持っていると思う。