ゲンティンクルーズが創業25周年、アジア発のグローバルクルーズめざす
クルーズ事業が創業から25周年の節目を迎えたゲンティン香港は、アジア発のグローバルクルーズをめざす次の25年に向けて新造船増強やサービス強化を一段と積極化する。同社はクルーズ事業部門「ゲンティン・クルーズライン」のもとに、93年に運航開始したカジュアルクルーズの「スタークルーズ」、プレミアムクルーズの「ドリームクルーズ」、ラグジュアリークルーズの「クリスタルクルーズ」の3つのクルーズブランドを展開し、過去25年間のクルーズ客数が650万人にのぼるアジア最大のクルーズ会社。
12月14日にはクルーズ部門の創業地シンガポールで、世界各国からクルーズや旅行、観光局、港湾、メディアなどの関係者約500名を招いた25周年記念式典を開催。ゲンティン香港会長のタン・スリ・リム・コック・タイ氏は、「次の25年に我々は、3つのクルーズラインが保有する世界で最も優れたクルーズ船を用いて世界中のクルーズを運航し、アジア1億5000万人の旅行者に数多くの魅力的なクルーズを提供することをめざす」と抱負を述べた。
また向こう数年の計画に関しては「21年には乗客定員が世界最大となる20万トンの新造船をドリームクルーズに投入。クリスタルクルーズに関しても20年には2万トンの、22年には6万7000トンの新造船を投入する。23年にはさらに別の船をスタークルーズに投入する計画もある」と新造船を中心とする投資に力を入れていることを説明した。このほかにも同社でこれまでスタークルーズとして運航してきた「スーパースター・ヴァーゴ」を改修し、19年からは「エクスプローラー・ドリーム」としてドリームクルーズに投入することも決まっている。
同社では、こうした新造船の投入計画に先立ち、16年にはドイツの造船会社「MVヴェルフテン」を買収。世界で唯一の造船会社を持つクルーズ会社となり、急ピッチで進める新造船投入計画を支える体制作りにも投資している。
こうした積極的な投資の背景にはアジア圏におけるクルーズ需要の高まりがある。25周年式典でスピーチしたシンガポール政府貿易産業教育省上級国務大臣のチー・ホン・タット氏は、「アジア発のクルーズ市場は17年に400万人を超え史上最高となり、前年を20%も上回った。この成長傾向はまだまだ力強く、2035年には東南アジア発だけで450万人に達する見込み」との見通しを明かし、ゲンティン・クルーズラインに関しても「年間100万人の乗客を受け入れるキャパシティがあり、27年には約2倍の210万人まで拡大する」と述べ、クルーズの運航拠点の一つをシンガポールに置くゲンティン・クルーズラインへの期待感を強調した。
なお、ドリームクルーズの「ゲンティン・ドリーム」は、シンガポールを拠点に定期クルーズを運航する現在唯一のクルーズ船だが、シンガポール政府は観光誘致の主要な柱としてクルーズやフライ&クルーズの振興に力を入れており、クルーズターミナルへ積極的に投資し、規制緩和も進めている。
また、これまでにシンガポール政府観光局、チャンギ空港とゲンティン・クルーズラインの3者共同プロモーションも実施。2800万シンガポールドルを投じた3年間のパートナーシップでは、60万人の海外旅行者の誘致と2億5000万シンガポールドルの観光収入を得たという。