ドバイ、日本市場強化でHISと覚書-18年日本人は10万人見込み
ドバイ政府観光・商務局CEOのイサーム・カーゼィム氏がこのほど、初めて日本を訪れた。「キーマーケット」と位置づける日本を視察し、日本オフィスに加え、日本の旅行業界とのパートナーシップを深めるのが目的。同局はすでにいくつもの大手旅行会社と連携しているが、12月11日にはエイチ・アイ・エス(HIS)とドバイへの渡航促進に関する協力覚書(MOU)を締結した。今後は両者共同でFITや女子旅、家族、シニア層をターゲットにした旅行商品の開発、日本の主要都市でのマーケティングやプロモーションなどに取り組む。
HISはここ数年のドバイへの注目の高まりを受け、ドバイを2019年の「グループ強化デスティネーション」に設定。19年1年間は「ドバイでDo!」プロモーションとして、ドバイへの日本人旅行者数を18年見込み比30%増とすることを目標に、ドバイ政府観光・商務局の協力のもと、全国でプロモーションを展開する。基幹店舗を活用したディスプレイキャンペーンを実施するほか、F1、F2層をターゲットにした女子旅への取組強化、団体旅行やMICE向けのユニット商品の開発、モデルプランの造成などを実施する予定。
ドバイへの日本人旅行者数は、2018年1月から9月までの累計が18%増の7万6900人で、通年では10万人に達する見込みだ。カーゼィム氏は業界誌のインタビューに応え、日本は国別のトップ30に入っているとしたうえで、「これをトップ20に押し上げ、さらに上をめざしたい」と意欲を語った。
また、ドバイ全体では20年までに世界からの訪問者数として2000万人を目標に掲げており、そのためには各市場で年平均7%から9%の成長が求められている。実際には各国の政治や経済の状況に左右されるため、5.5%の成長で推移しているが、カーゼィム氏は「世界の他のデスティネーションの年平均成長率である4.8%を上回っている」と強調。19年はAFCアジアカップ、20年はドバイ国際博覧会の開催が決定していることから、さらなる増加に期待を示した。
ドバイといえば、最高級のホテルをはじめとするラグジュアリーなリゾートがそのイメージだ。しかし、ドバイ政府観光・商務局では、高級ホテルよりも現地での体験に価値を見出す若い世代をターゲットに、3つ星、4つ星のホテルやブティックホテルを利用し、ラ・メールでのビーチ体験、砂漠でのデザートサファリやキャンプといったアクティビティを紹介し、そうしたイメージの払拭をはかっている。
このほか、女性層にはスパでのリラクゼーションやアラブならではのショッピング&グルメ、シニア層などには各種テーマパークや冬がベストシーズンのゴルフなど、各セグメントに即した旅行素材を提案している。カーゼィム氏は「ラマダンの時期もイスラム文化の伝統を知る絶好の機会。ラマダンならではの雰囲気やイフタールも体験して欲しい」と語った。
今後は「ただ旅行者を増やすだけでなく、長く滞在してもらうために必要なことを考え、リピーターの育成にも力を注ぎたい」考え。そのために、引き続きドバイの情報を適切なメディアやインフルエンサーを通し、最適な時期に発信していく方針だ。
中森氏の氏名を誤って表記しておりました。お詫びするとともに訂正いたします。