出張規定の適切な運用にデータが不可欠-GBT NTAがフォーラム
アメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベル・日本旅行(GBT NTA)はこのほど、都内で日本企業を対象に「ビジネストラベルフォーラム2018」を開催した。7回目の今回は「一歩先を行くトラベルポリシー(企業の出張規定)マネジメント」がテーマ。トラベルポリシーを適切に運用するためのデータの活用方法を提案した。
冒頭に登壇したGBT NTA代表取締役社長の内山博生氏は「これまで多くの日本企業では、海外出張ルールの策定・遵守、コストコントロールの観点において、グローバル企業ほど厳格に出張規定を運用しておらず、出張効率を高める投資もしてこなかった」と振り返った上で、近年は日本企業でも出張規定の策定や運用の手法を変える動きがあることを説明。「本フォーラムが、企業の皆様のより良い出張プログラムの構築やBTMの深化につながれば」と話した。
同社事業戦略&開発本部本部長の滝田祥丈氏も、近年日本企業が海外に進出して海外出張が日常的なものになるなか、日本企業が株価や為替の安定を受け、間接コストの削減に向けたシステム投資などを実施するようになってきた旨を解説。一方で「次は運用をどうするかという段階だが、現場の出張者と管理者の間でギャップが出てきている」と課題を指摘した。
続いて登壇した、アメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベルでグローバルビジネスコンサルティングのAPAC統括を務めるハリス・マンルターク氏は、「出張管理の中心はデータをどう補足して管理するか」と強調し、出張規定を運用する際に出張データを積極的に活用するよう呼びかけた。出張管理の課題としては「出張規定の管理・運用」「費用の最適化」「戦略的なソーシング」「出張者の動態の注意義務」の4つを挙げ、データの活用方法を提案。このうち「出張規定の管理・運用」については、自社の出張規定を業界標準と比較し、規定の改善につなげることを呼びかけた。
「費用の最適化」については、データに基づいたシミュレーション分析で、企業が定める航空会社やホテルの活用、航空券の早期予約によるコスト削減を試算できると説明した。「戦略的なソーシング」については、航空会社やホテルなどと料金交渉する際、出張者がよく利用する路線やホテルなどをあらかじめ理解することで、適切な金額交渉ができることを強調。「出張者の動態の注意義務」については、出張者が自社の出張規定をどう感じているかについて知る必要があるとし、「社員の生産性を高めるために、的確な出張規定を設定して運用する必要がある」と話した。
なお、フォーラムでは、企業の出張管理者2名と滝田氏がパネルディスカッションを実施。法人契約した航空会社やホテルを利用するよう、あらかじめ出張の手配担当者に積極的に情報を発信していること、規定を守る効果を数値で表示することで上層部の理解を求めていること、部門ごとに出張規定の遵守率をグラフ化し、部門ごとの競争意識を高めることで規定を守るムーブメント作りに取り組んでいることなどが話された。
このほか、フォーラムでは協賛企業がセッションを開催。カンタス航空(QF)、デルタ航空(DL)、セーバートラベルネットワーク、シャングリ・ラ ホテルズ&リゾーツがプレゼンテーションを実施。それぞれ業務渡航向けのサービスなどを紹介し、参加者に利用を呼びかけた。
また、滝田氏が「トラベルマネジメントの新しいツール」として、英国のフィンテック企業であるコンファーマ社が提供するバーチャルペイメントサービスを紹介。出張者に対し、1回の出張ごとに期間限定でバーチャルカードを発行し、その番号で精算をおこなうもので、上限額も設定できる。通常のコーポレートカードよりもセキュリテイが高く、宿泊先の詳細なデータなどを紐づけて精算できるため、滝田氏は「出張者の支払い管理やコントロールがしやすくなる」とアピールした。コンファーマは現在、30社のクレジットカード発行会社と提携し、197ヶ国でサービスを提供。19年中には日本でサービスを開始する予定という。