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アメックスがインハウス関係者など集めイベント開催、業界環境の未来占う

  • 2018年11月12日

開会の挨拶に立ったアメリカン・エキスプレスの法人事業部門副社長の須藤氏 アメリカン・エキスプレス・インターナショナル法人事業部門は11月9日、東京で「アメリカン・エキスプレス ビジネストラベルフォーラム」を開催した。「外部環境変化に応じた社内体制の構築」をテーマとしたもので、インハウス旅行会社や企業のトラベルマネージャーら32名が集まった。

 イベントではまず、航空経営研究所主席研究員でフォーカスライトJapan主席アナリストでもある志方紀雄氏が、「航空会社(FSC)のマーチャンダイジングのチャレンジ」と「不安定な時代の危機管理」と題し、世界の旅行市場の動向や流通環境の変化、危機管理体制などについて解説。世界の旅行市場はリーマンショックの2008年以外は右肩上がりで、2017年は13億2000万人に達しており、2030年には18億人になると予想。牽引するのはアジア太平洋地域で、2030年には5億3500万人の海外旅行者にのぼるという。

航空経営研究所主席研究員でフォーカスライトJapan主席アナリストの志方氏 また、流通環境の変化についてはNDCを取り上げた。旅行会社が導入するときのポイントとして、自社に最適なコストのポートフォリオの検証が重要として、航空会社のダイレクトコネクトの利用やGDS各社がリリースする機能を活用するなどの方法を紹介。さらに次の潮流としてブロックチェーンをあげ、例えばシンガポール航空(SQ)がマイルをデジタル通貨に変換できるブロックチェーンベースのデジタルウェレット「KrisPay」を立ち上げるなど、観光産業でも事例が出てきていることを紹介した。

 このほか危機管理については、SNSを利用した安否確認を提案。例えばLINEなどを利用することで、出張者は追加アプリのインストールの必要が少なく、プッシュ通知を受けることができるなどの利点をあげた。志方氏は「出張者との双方向の通信環境を構築することが大切」と締めくくった。

航空アナリストの鳥海氏 続いて、航空アナリストの鳥海高太朗氏がLCCを含む日系旅行会社の現状と今後の展望について語った。LCCについては便数が大幅に増えたことで選択肢が増え、「FSCとLCCを組み合わせベストなスケジューリングすることができるようになった」と述べ、業務渡航での活用の可能性を示した。参加したインハウス旅行会社からは「特に関西ではLCCを利用した出張は当たり前になってきている」との意見も聞かれた。

 また鳥海氏は2020年に向けた航空業界の見通しとして、インバウンドの増加や羽田空港の発着枠拡大など「天気予報でいえば『晴れ』」とコメント。全日空(NH)と日本航空(JL)については、サービスクオリティを維持し続ければLCCや中堅航空会社に利用者を奪われる可能性は少ないと予想。ただし羽田空港の発着枠がどのように分配されるかで「今後10年の経営方針を大きく左右する」と考えを示した。

 なお、アメリカン・エキスプレスからは、法人事業部門副社長の須藤靖洋氏が登壇し「ビジネストラベルの業界の変化が激しいため」と6年ぶりにイベントを開催した経緯を説明。また、法人営業部門エンタープライズ営業本部本部長の坂口晶紀氏は「3年前ほどから決済データを分析しコンサルティングサービスも注力している」と決済サービス以外のサービスも提供していることをアピールした。