週間ランキング、1位はHISのAAA事業停止-ハロウィン騒ぎに思う
[総評] 今週の第1位は、エイチ・アイ・エス(HIS)のチャーター専門会社「アジア・アトランティック・エアラインズ(HB/AAA)」が事業を停止し、特別損失を計上することをお伝えした記事でした。第2位に入った日本旅行の海外旅行事業再編の方が上位になると予想していましたが、AAAのインパクトには及ばなかったようです。
HISにとって、あるいは澤田秀雄氏にとって、航空輸送の事業を断念せざるを得なくなったのはスカイマーク(BC)に続いてこれが2回目です。今回は、初年度に運航者証明書(AOC)の取得審査が遅れるなどして何度か就航を延期し、さらに反政府デモの発生など運の悪さもありました。
おそらく事業を計画されていたであろう2012年は日本人出国者数が過去最高となるなど追い風が吹いていたわけで、今またその数値が戻りつつあることを思うとタイミングが違えば、と考えてしまうのは私だけでしょうか。
先日、JTBによるJALのチャーター機に搭乗する僥倖を得たのですが、改めていうまでもないでしょうけれども、オフラインの空港へ直行できるチャーターというものは本当に便利だと実感しました。
海外では、TUIグループのように大規模な航空ネットワークを持つ旅行会社があり、近いところでは春秋航空(9C)も春秋国際旅行社の傘下にあります。AAAは結果だけ見れば失敗であるわけですが、挑戦しなければ成長もありません。稀代のカリスマである澤田秀雄氏のことですから、きっと三度目の正直を心中で誓っておられるのではないかと勝手に期待してしまいます。
さて世間では今週、ハロウィンの狂騒が耳目を集めていました。年々ポピュラーになっていっているかと思いきや2年連続で経済効果が前年割れしているという推計があり(リンク)、しかしそうはいってもその推計額が約1240億円という目を見張る数字であったりもし、どう受け止めれば良いのかよくわかりませんが、いずれにしても個人的には年齢的にも性格的にもまったく理解の及ばない世界です。
しかし、マーケティング的にはむしろ特定のセグメントが目の前でリアルな集団を形成しているわけで、例えば若年層の需要喚起というようなことを考えるうえでは絶好の機会あるいは場所なのではないかと(終わってから)思いました。
こちら側のモラルからすれば正直なところ鼻つまみものですし、来年から無くなったとしても自分にはなんら影響はないものの、そうやって彼我の間に断絶を作っているようでは、彼らの旅行需要について考えるのは困難だとも自覚します。
逆にいえば、彼らが何を大切にし、何に対してであれば時間や金銭を投じるのかについては、彼らが一番の理解者です。そしてそうであるならば、企業にせよ行政にせよ若年層の需要喚起に取り組む場合には、当事者である若者にこそその役割を担わせるべきでしょう。
もしかするとハロウィンは年齢というよりもいわゆる「パリピ」という集団で考えた方が良いかもしれませんが、それにしても餅は餅屋です。パリピによるパリピのためのイビザ島ツアー、なんて思い付きですがいかがでしょうか。法的、身体的な安全を確保した上で羽目を外せるようにできれば、旅行会社の強みも出せそうな気がします。
「あいつらは何を考えているか分からない」―もし決定権者がそう思うなら、「分かる」人間に予算を委ね、自分は自分の役割に徹する勇気を持ってほしいものです。あるいは、とりあえずゾンビメイクをして渋谷で朝まで、もひとつの手段かもしれませんが。(松本)