観光復興に向け都内で「北海道を観光で盛り上げる会」-菅官房長官など出席

会合の様子  9月初旬に発生した北海道胆振東部地震で大きな打撃を受けている北海道観光の復興に向けた気運醸成をはかる「北海道を観光で盛り上げる会」が24日、東京・霞が関の東海大学校友会館で開催された。主催は北海道観光振興機構、日本観光振興協会、日本政府観光局(JNTO)、日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟、日本旅館協会、東日本旅客鉄道、全日空(NH)、日本航空(JL)の11団体・企業。

菅氏  同会には主要な観光団体や観光関連の民間企業のトップに加え、内閣官房長官の菅義偉氏、国土交通大臣の石井啓一氏、農林水産大臣の吉川貴盛氏ら政府関係者、自民党幹事長の二階俊博氏をはじめとする10名以上の国会議員、北海道知事の高橋はるみ氏や北海道観光振興機構会長の堰八義博氏など、官民から約150名が参加した。

 北海道庁の集計では、9月末時点で震災発生以降の宿泊のキャンセルは114万9000人泊に達し、観光消費へのマイナスの影響は356億円にも上ると推計されている。こうした北海道観光の危機を救うため、政府は予備費から約81億円を拠出し、「北海道ふっこう割」の実施を決めており、旅行会社などが関連商品の販売を順次スタートしているところ。

 合わせて9月28日からは官民共同で「元気です北海道 Welcome!HOKKAIDO、Japan.」キャンペーンも始まっており、オールジャパンによる北海観光の復興へ向けた体制が整いつつある。この機に、北海道の観光復興の気運をさらに盛り上げていこうというのが「北海道を観光で盛り上げる会」開催の目的だ。

石井氏  挨拶に立った菅氏は、「政府は北海道の復興のため112億円を注入しており、『ふっこう割』も始まり、ようやく底を打った状況ではないか」と今後の観光復興の進展に期待を示した。石井氏は「ふっこう割」やキャンペーンに加え、新幹線の割引切符の発売、航空会社の運賃値下げなど民間企業のさまざまな協力があることに触れたうえで、「国土交通大臣としては、今週末に開催される日中韓の観光大臣会合では、中韓との二国間会談も予定している。その際にはぜひとも北海道の観光を勧めてきたい」と述べた。

 二階幹事長は「ここに集まった多くの観光専門家が、皆でまずは北海道を盛り立てて、全体として日本の観光がしっかりするようにしなければならない。“集まりに顔を出しておけばよかろう”式の話ではない。真剣にやってほしい」と参加者一同に発破をかけた。

 こうした支援に対し、高橋氏は「今回の『ふっこう割』に対する80億円以上の拠出は、他の事例と比較しても1自治体への支援としては破格の金額」と感謝の意を示した。そのうえで「復興へのきっかけを与えていただいたので、今後は自助努力し観光資源を磨き、おもてなしの心をレベルアップし、北海道への観光客をしっかり受け入れていきたい」と意欲を述べた。

 このほか、会合では北海道の旅館を代表して日本旅館協会副会長の浜野浩二氏が挨拶。「北海道の観光シーズンは10月で終わり、11月からは長いオフに入る。限られたシーズンの2カ月を地震の影響で失ったことで北海道の観光は深刻な影響を受けているが、『ふっこう割』の大胆で高額な支援が支えとなっている。関係者には、冬のオフこそ北海道ツアーを多く造成していただきたい」と支援を要請した。

田川氏  会合の最後には、主催者団体・企業各社が北海道の観光復興に向けた決意表明を実施。JATA会長の田川博己氏は「西日本豪雨のふっこう割はすでに成果を上げている。北海道についても大反響があり、成功すると信じている。オフを売るのも旅行会社の役割であることを肝に銘じてしっかりやっていきたい」と語り、旅行会社による積極的な復興支援を約束した。