カナダ、19年は日本人32万人めざす-直行便開設の働きかけ強化
カナダ観光局社長兼CEOのデービッド・ゴールドスティーン氏がこのたび来日し、メディア向けに日本市場の現況と今後の戦略について説明した。カナダへの日本人旅行者数は好調に推移しており、18年は30万4000人を見込む。ゴールドスティーン氏は、「過去2年では平均5%から6%の成長率となり、日本の海外旅行市場全体の成長率を上回っている」と説明したうえで、19年は32万人を目標に設定。20年には「ピークだった1992年、93年の60万人に戻したい」との見解を示した。
同氏は市場拡大には「日本/カナダ間の座席供給量が重要」との考えを示し、特にアメリカ経由でのカナダ入国が減少していることから、直行便の増加を航空会社に働きかけていきたいとした。また、カナダのウエストジェット(WS)が787-9型機を受領したタイミングで日本へ就航するのではないかと見られていたが(関連記事)、同社が先日、来年4月以降にカルガリー/ロンドン(ガトウィック)、パリ、ダブリン線を就航すると発表したことについて、「日本にとっては残念だが、これから同型機をさらに導入すると聞いている。将来的に日本就航のチャンスはあるのではないか」と期待を寄せた。
このほか、同氏は日本市場での取り組みについて説明。主なターゲット層を文化や歴史に関心の高い55歳以上のシニア層と、同局が「フリー・スピリット」と呼んでいる25歳から34歳の若者層に焦点を当てる考えを示した。特に、若者層については「ここ2、3年で急増している」とし、「これまでの『カナダはコールドではなくクールなデスティネーション』というアピールが浸透してきた結果」と評価した。この層は新しい体験を求めることから、今後も都市やアウトドアを中心に新しい素材を訴求していく。
さらに、今年6月にエア・カナダ(AC)が成田/モントリオール線を開設したことから、モントリオールを中心としたケベック州の訴求を高めていきたい考えを示したほか、新しいプロダクトとしてカナダの先住民文化のアピールも強めていく方針を明らかにした。
これまで課題とされてきた冬期の需要については、「ピークは8月だが、2月、紅葉後の10月や11月も日本人旅行者は増加している」とコメント。旅行会社と協力して冬の商品開発を進めており、「望ましい形で冬のマーケットが創出されている」との認識を示した。昨年秋に立ち上げた、日本市場向けの10ヶ所での体験を選定した「WOWエクスペリエンス・カナダ」では、今年さらに10ヶ所を選定し、旅行会社の商品開発を促す機会として継続していくという。