DMM、ツアー第1弾を発表、「気分はスタートアップ」
ケニアやエストニアなどに視察ツアー
KNT関東との共同開発商品も
会員数約3000万人のECサイトを運営し、幅広い事業を展開するDMM.comは10月1日、旅行事業の「DMM TRAVEL」を開始し、自社造成による募集型企画旅行商品の販売を開始した。「学びを、キャリアを加速する。」をテーマに、海外への視察旅行や研修旅行を企業経営者や学生などに向けてウェブサイトで販売する。それぞれの商品では、アフリカなどに置く複数の拠点や広範なネットワークを活かし、個人旅行では難しい希少な体験を提供することに主眼を置く(関連記事)。
7月の旅行業参入発表時に続いて本誌の取材に応じたDMM TRAVEL事業部長の笠原鉄平氏は、「DMM.comの事業ではあるが、気持ちは完全にスタートアップ。まずは走り出す、といったところ」と心境を語った。「常に社内起業を求められる」という同社らしく、現時点のスタッフ数は4名程度で、採用活動も並行して続けるという。準備期間については「慌ただしかったが、近畿日本ツーリスト関東(KNT関東)からのアプローチや、アジアや豪州への手配旅行案件が舞い込むなど、想定外の面白いことが増えた」と振り返った。
第1弾商品は、東アフリカ経済の中心的役割を果たし、笠原氏との縁も深いケニアでのビジネス視察ツアーや、IT先進国として知られるエストニアやイスラエルへの技術視察ツアーなど、6ヶ国への7商品を発売。いずれも「ビジネスとスタディ」に特化しており「基本的に観光の領域には踏み込まない」のが方針という。
目玉となるのは2月7日出発予定の「ケニアのビジネスを網羅する2週間」で、青年海外協力隊員として同国への赴任経験があり、その後も10年以上に渡りアフリカと関わってきた笠原氏が、DMM.Kenyaなどと協力して企画したもの。IT産業などが急成長しているケニアを、スラムからイノベーションセンター、さらにはワイナリーまで視察する。「ケニアに来て、あえて外すのは不自然」との考えから、2日間だけは国立公園でのサファリに充てるが、それ以外の大半の時間は「ビジネスとスタディ」に割く。
旅行代金は1人37万8000円で、メインターゲットは春休み期間中の学生などの若年層。スタンダードクラスのホテルを利用するなどして「学生でも参加可能な価格帯」と考える30万円台に収めたという。最少催行人数は10名。そのほかケニアについては、自由行動を中心とし、オプションで企業訪問などを追加できる「アフリカ入門!自分で作り上げるケニア6日間」も発売する。旅行代金は1人27万8000円から。
KNT関東とは、来年1月にホーチミンで開催される「ジャパンベトナムフェスティバル」と、6月にホノルルで開催される「まつりインハワイ」の関連ツアーを共同開発。ともに学生などが観光産業の現場を学ぶためのツアーとし、DMM TRAVELのウェブサイトのみで販売する。7月の時点では想定していなかった展開だが「我々が独自で企画するツアーは“ギャンブル性”が高い。売上を確保する上でもKNT関東からのお誘いは非常に有り難い」という。なお、KNT関東によれば、KNT-CTグループとDMM.comはすでにアニメなどに関する旅行商品の造成で協働した実績があり、DMM.comのコンテンツや情報発信力には魅力を感じていたとのこと。
次ページ>>>企画力に自信、今後はツアーGP参加も