ツーリズムEXPO開幕、「旅の力」で世界へ貢献を、2030年以降も視野に

開会式の様子 世界最大級を謳う旅行の総合イベント「ツーリズムEXPOジャパン(TEJ)」が9月20日、東京の東京ビッグサイトで開幕した。今年のテーマは「観光で地域創生を!」で、20日と21日は業界日として関係者がシンポジウムや商談会に出席し、一般日の22日と23日は消費者を迎え旅行需要の拡大をめざす。

 20日の開会式で挨拶した日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏は、国連が掲げる17の持続可能な開発目標(SDGs)について、「ツーリズムの果たすべき役割は大きなものがある」とコメント。SDGsは、例えば「貧困をなくす」「飢餓をゼロに」「人や国の不平等をなくそう」などで(詳細)、これらに対して田川氏は旅の力を発揮すれば「雇用を生み出し地方創生に資する」「国民同士の理解を深め平和をもたらす」「旅の力で災害からの復興を成し遂げる」といった事柄を達成可能との考えを披露。

 そのうえで、日本の現在の立ち位置として「訪日4000万人、海外旅行2000万人、相互交流6000万人を実現しようとしている。国際観光の牽引役としての責任をしっかりと認識し、旅の力の良い影響力をここにおられる世界の皆様と力を合わせて世界の隅々まで及ぼしたい」と訴えた。

国土交通大臣の石井啓一氏 また、来賓として登壇した国土交通大臣の石井啓一氏も、「観光は経済だけでなく社会共生、環境保護、文化、平和、安全に大きく貢献するもの」であるとし「今後も成長を継続させていくことが重要」と強調。

 そして、引き続き大きく拡大する訪日に加えて海外旅行も「明るい兆しが見えてきている」と語り、「政府としても、観光先進国をめざすうえで、インバウンドの拡大とともに日本人自身もこれまで以上に積極的に外にでかけ、諸外国との双方向の交流により相互理解を深め、日本を真に世界に開かれた国にすることが重要」と捉えていることを説明した。

 このほか、基調講演では国連世界観光機関(UNWTO)の新事務局長であるズラブ・ポロリカシュヴィリ氏と世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)理事長兼CEOののグロリア・ゲバラ・マンソ氏が登壇し、「観光で地域創生を!」のテーマに沿ってプレゼンテーションを実施。

(左から)日本観光振興協会理事長の久保成人氏、田川氏、ポロリカシュヴィリ氏、日本政府観光局理事長の清野智氏 両氏は、17年に世界のGDPの10%を観光産業が占めていること、新しく創出された雇用が5件あればそのうち1件は観光産業によるものであったこと、さらにアジアではすべての被雇用者の9.3%にあたる1億7670万人が観光産業に従事し、観光産業のGDP成長率が5.4%に達したことなどを紹介。

 さらに今後についても、2028年に世界のGDPへの貢献度合いが11.8%となり、雇用も10人に1人の割合から9人に1人に増す、2030年には国境を越える旅行者が現在の13億人から18億人に増える、航空旅客数も現在の40億人が2036年には78億人に達するといった見通しを示し、観光産業の重要性を指摘した。

 なお、こうした見通しについては、開会式後の記者会見で田川氏も言及。TEJは19年に大阪、20年に沖縄で開催し、オリンピック後の21年に東京へ戻ることが決まっているなかで、イベントの役割や意義が問われていくことになるが、田川氏は「目標地点は18億人が動くという2030年に置くべき。(それまでの)10年をどう展望するか」が課題になるとし、これからの2年間の市場動向なども注視しながら検討を進めていくと語った。