大韓航空、日韓路線維持は「プライド」、増便も積極的に
大韓航空(KE)常務兼日本地域本部長の金正洙(キム・ジョンス)氏はこのほど本誌の単独取材に応じ、日本市場における事業の現況や今後の取り組みなどについて語った。同社は1968年に3番目の日本路線として、115席のDC-9型機による週6便の東京/ソウル線(羽田/金浦線)を開設し、今年の7月25日で50周年を迎えたところ。金氏は日本市場で新たな1つの節目を迎えたことに喜びを示すとともに、今後の方針として「現在の日韓路線は今後も維持する」と語った。
KEは2018年夏ダイヤでは東京(成田または羽田)/ソウル(仁川または金浦)間だけで週49便を運航し、日韓間では21路線・週218便を運航。金氏は、2国間における供給座席の約6割をLCC勢が占めるようになった現在においても、同社が22%と最大のシェアを占めていることについてアピールした上で「日系FSCも供給量を減らしているなか、多くの路線を維持していることは我々のプライド。評価されていいと思う」と強調した。
あわせて「KEは現在、日本の12都市に就航しており、当面は新路線を開設しないと思うが、便数などは増やしたい」と意欲を示し、昨年の冬ダイヤでは訪日スキー客などの取り込みに向けて仁川/青森、新潟線を増便したことなどをアピール。時期によって需要増が見込める路線については、積極的に座席供給を増やす考えを見せた。そのほか、「運休した路線への復便や、他社が運休する路線にも興味がある」とも付け加えた。
子会社のジンエアー(LJ)など、ここ数年で大きく事業を拡大したLCC各社との今後の競合については、ひと言「共存する」と明言。「日韓路線は短距離路線であり、一部で利用者がLCCに流れるのは仕方がない。しかしこれだけFSCの路線も残っているということは、生き残る術があるということ」と述べるとともに、「新たな利用者が生まれれば、プロダクトやサービスによって需要は2分化し、一部はFSCに入ってくる。そのなかでどのように差別化するかが重要」と見解を示した。LCCのシェア拡大は今後も続くことが予想されるものの、FSCとしてのプロダクトやサービスの改善には注力を惜しまないという。
なお、金氏によれば、KEが導入する新機材は主に仁川発着の長距離路線に投入するため、日韓路線では同社の最新のプロダクトやサービスに触れにくいもどかしさがあるが、例外といえる成田/ホノルル線については、今年1月から7月までの平均搭乗率は8割を維持しているという。金氏は同路線を運航していたチャイナエアライン(CI)が、昨年に通年運航から繁忙期のみの期間限定運航に変更したことなどに言及した上で、「路線は維持する。全クラスの機内設備や座席、機内食などで差別化し、利益を守る」と強調。複数のLCCが関空/ホノルル線を開設し、今後はKE便への影響も考えられるが、価格競争には踏み込まないとした。
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