果たしたい役割 平成30年7月豪雨-旅行業界に求める「発信」「送客」(1) 現地の現状、正しい理解を

 7月上旬、西日本各地に大きな被害をもたらした「平成30年7月豪雨」。被災地では現在も復旧作業が続き、JRを中心に運休が続く区間もある。直接的な被害がなくても被災地近隣の観光地では観光客が激減。ほとんどの場所は通常の観光に支障はないが、悲惨さのみを繰り返すテレビなどの報道で、実態と乖離した風評被害が顕在化している。風評を打破するための正しい情報発信の役割と、地域経済の復興につながる送客を旅行業界に求めている声は小さくない。

 今回の豪雨でもっとも被害が大きかった広島県。ただ広島市中心部の平和記念公園や原爆ドーム、廿日市市の宮島・嚴島神社、福山市の鞆の浦などは通常通り営業。JR在来線の一部不通は続くが山陽新幹線は通常運行しており、山陽自動車道や中国自動車道、しまなみ海道も全通している。

 広島県観光連盟では「個々の施設の復旧は思いのほか早く、県内の多くの見どころは夏の行楽シーズンに間に合います」と強調する。呉方面へ向かう広島呉道路は不通だが、呉市内の大和ミュージアムやてつのくじら館、入船山記念館などは営業している。県北部では三好市の鵜飼のみが休止中で、庄原市の備北丘陵公園などは通常どおりだという。

 同連盟では「急ピッチで復旧が進んでいます。ご心配をおかけしますが、ご送客をお願いします」と旅行会社に呼びかけている。

 岡山県では、倉敷市真備町で大規模な洪水が発生したが、倉敷美観地区や県南の宿泊拠点である鷲羽山周辺の施設は通常通り営業している。テレビで繰り返し「倉敷市」と放送されるため、観光のキャンセルが非常に多くなっている。倉敷市や岡山市内のビジネス系ホテルは復旧工事の関係者で宿泊数だけは確保できているという。

 県北部の湯郷温泉は、豪雨でボイラーが浸水した旅館があったが現在は復旧。ただ各館でキャンセルが相次いでいる。

 同じ中国地方では、岡山から鳥取へ抜ける伯備線が不通で、現在、鳥取・島根両県で展開する山陰デスティネーションキャンペーンにも影響が出ている。大手旅行会社は、山陽新幹線で岡山まで行き、岡山イン・アウトの貸切バス利用に変更するなど「山陰へ滞りなく送客できるよう全力を挙げています」と話す。

(トラベルニュースat 18年7月25日号暑中号)

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