仏商談会にオクシタニー地方から14社出展、日本との関係強化へ

ペルフィーグ氏  フランス観光開発機構は5月29日から6月1日まで、観光ワークショップ「SAKIDORI FRANCE 2018」を東京、大阪で開催する。これにあわせ、フランス南部のオクシタニー地方から地域圏議会を筆頭に20社からなる経済ミッションが来日。ワークショップの出展者全37団体中、14団体がオクシタニーからの参加となった。

 同日に開催したセミナーで、オクシタニー地域圏議会副議長のナディア・ペルフィーグ氏は、「日本とは経済、文化ともに深い協力関係を築いている」と語り、日本を重視する姿勢を強調。特に観光に関しては、「日本人旅行者がフランスに求める要素がすべて揃っている」とアピールした。

デスティネーションセミナーの様子  オクシタニー地方は、2016年にミディ・ピレネー地方とラングドック・ルシヨン地方が統合して誕生した、地中海とピレネー山脈に接する南仏の地域。トゥールーズやモンペリエの大都市から、9つの世界遺産をはじめとする歴史と文化、世界最大のワイン産地と食、温泉など、観光テーマや素材が幅広く、年間3000万人もの観光客が訪れる。日本では近年、日本旅行業協会(JATA)の「ヨーロッパの美しい村30選」に選出された「サン・シル・ラポピー」の注目が高まっており、商品造成が進んでいる。

 同地方はフランス人の国内旅行先の1位で、最も住みたい憧れの地でもあり、年間5万人が移住している。ペルフィーグ氏は理由として、年間の日照時間が長く、晴天は多いが地中海からの風が気温の上昇を抑え、快適に過ごせることを説明。同地方の産業の第1の柱はオーガニックを中心とした農産品で、日本でも食やライフスタイルなどの様々なテーマで、メディアの取材が増えているという。

 同氏はこのほか、観光以外の日本との関係性を説明。現在、24社の日本企業が進出しており、現地の親日度も高く、秋には初の「ジャパンウィーク」も予定する。今回の経済ミッションでは観光のほか、来週には愛知県を訪れ、観光に次ぐ第3の産業である航空宇宙産業の分野での協定を締結するという。


▽回復基調で各地方のミッション団も続々と来日

マゼンク氏  フランス観光開発機構在日代表のフレデリック・マゼンク氏によると、日本人旅行者数は順調に回復傾向にある。2017年の統計はまだ発表されていないが、パリについてはホテルやオペレーターなどのヒアリングの結果から前年比33%増を予想。パリは16年は45%減まで落ち込んでおり、完全な回復には至らないものの「全体的に良い傾向」という。

 特に、ワークショップの出展者数が一昨年の24団体から、昨年は34団体、今年は37団体と増加したことが「回復の証」と語る。今年はオクシタニー地方のほか、パリやパリ地方、ブルターニュ地方、アルザス地方、シャンパーニュ地方、サントル=ロワール地方などのミッションの来日が予定されており、地方の動きにも回復する日本への期待が表れているという。

 今年の目標は、15年の65万人レベルに戻すこと。同機構では、昨年から観光テーマを細分化し、エッジを効かせたアプローチを開始している。例えば「恋するフランスキャンペーン」は、ハネムーナーはもちろん、性別問わずカップルに「大切な人とフランスに行こう」とアピールする企画。これ以外にも新たに、ゴルフなどの露出を強化。先ごろ結婚情報誌「ゼクシィ」のウェディングフェアや「ジャパンゴルフフェア」に出展しており、マゼンク氏は「来場者にも目新しく映り、好評だった」と手ごたえを語った。

 同氏は「日本人の旅の好みが変わってきて、自分の旅をしたいと希望する人が増えてきた。そのニーズにあうテーマをピンポイントで訴求していく」と趣旨を説明。新規客を取り込みながらファン化し、新規客とリピーターのバランスをとりながら誘致活動を進める方針だ。