JTB、17年度は投資強化で大幅減益-22年度に営利200億円へ
▽今期は増収増益、店舗で「お客様担当制」導入
組織改編後の初年度となる19年3月期については、売上高は2.0%増の1兆3500億円、営業利益は75.3%増の90億円、経常利益は6.6%増の100億円、当期純利益は389.0%増の51億円を見込む。新規事業開発などへの積極的な投資は継続するが、海外旅行が回復基調にあり、国内旅行で東京ディズニーリゾート35周年などがあること、会社の再統合で間接コストの削減などが見込めることなどから、増収増益を予想する。なお、当期純利益の大幅増は、17年度に特別損失として「事業再編損失」を27億6800万円計上したことなどによる反動。
今年度は個人事業、法人事業、グローバル事業の3つの軸で事業を展開。このうち個人旅行事業は、FIT向けの価格変動型商品「ダイナミックJTB」を強化。4月から会員制度「JTBトラベルメンバー」にJTBでの旅行購入金額別に3つのステージを設け、ステージごとに店舗の来店予約、年末年始のツアーの優先予約受付などをおこなう。さらに、高橋氏は「個人・法人問わずお客様ごとに担当制を導入する」考えを示した。法人担当者の顧客企業の社員が個人旅行をする際、選任の店舗スタッフが担当する仕組みを作るという。
中核事業と位置づける法人事業は、報奨・視察旅行などの「旅行事業」、展示会や社内イベントなどの「コミュニケーション事業」、出張管理システムや福利厚生サービスなどの「総務系ソリューション事業」、地域交流事業の4本柱で展開。グローバル事業は、日本、欧州、ハワイでの着地型コンテンツの提供を強化。日系企業を中心にMICEやBTMなどを強化し、収益の拡大をめざす。
高橋氏は今回の経営改革を「第3の創業」と位置づけていることを説明し、「お客様や社会、国の抱える課題に(商品やサービス、事業の仕組みなどの)ソリューションを提案できる『ソリューション会社』をめざしたい」と意欲を語った。22年度をめどに、安定的に営業利益で約200億円を達成できる企業をめざす考え。200億円の内訳については、「半分は従来どおりの旅行業を中心としたコミッション、残りの半分はMICEなどソリューションの対価をイメージしている」という。
また、同氏は22年度までの5年間に、デジタル技術、新規事業開発などに計1000億円を投資することを説明。デジタル技術については店舗でスクリーン越しに販売スタッフとやり取りができる「リモート接客システム」に挑戦。年内に案内スタッフ以外はほぼ無人の実験店舗を開業する予定という。新規事業開発はベンチャーファンドに出資するほか、旅行事業以外の会社との協業も検討する。
このほか、高橋氏は今後の店舗展開についても説明。昨年度は同じ地域にあった店舗を集約するなど店舗の整理を積極的におこない、今年の3月時点では前年比66店舗減の690店舗まで減少した。今後も一部の店舗を閉鎖するが、クルーズ専門店など専門性の高い店舗を増やすという。