旅工房、アドベンチャーとの提携「具体的な話はない」

  • 2018年5月27日

高山氏  旅工房代表取締役会長兼社長の高山泰仁氏は、5月24日に開催した2018年3月期(17年4月1日~18年3月31日)の決算説明会で、このほど同社の株式の5%超を取得した第1種旅行業のアドベンチャーとの提携の可能性について、「アドベンチャーは国内航空券、我々は海外ツアーで領域が違う」としながらも、「具体的な話は進んでいない。一株主として真摯な対応をしたい」と話した。株主が上場企業の発行済株式総数の5%超の株式を保有した場合は、内閣総理大臣に「大量保有報告書」を出す必要があるが、アドベンチャーからは報告書を出す前に直接報告があったという。

 高山氏は「同業者に株を買ってもらえることは光栄なこと」とコメント。「アドベンチャーのマーケティングやウェブに対する知見はすごいと思う。旅工房としては勉強していきたい」とした。アドベンチャーが同社を買収する可能性については、「マザーズには全株式の25%程度しか出しておらず、仮に全部買われたとしても余裕がある」と説明し、買収の可能性を否定した。なお、同氏は昨年の4月時点で旅工房の株式の56%超を所有している。

 なお、同社の株式の初値は2070円(※)で、4月26日には2790円(※)の高値を付けたものの、その後は値を下げ一時は700円台まで落ち込んだ。その後はアドベンチャーによる株式の取得などにより上昇し、5月24日の終値は1080円だった。高山氏は こうした動きに対し、「株価が下がり、株主に損をさせてしまったことに関して反省している。今後はしっかり足元を見据え、確実な成長戦略を展開したい」と語った。

 同社の18年3月期の連結業績で売上高は前年比7.7%増の242億5700万円、営業利益は73.9%減の8100万円、経常利益は76.8%減の6900万円、当期純利益は79.7%減の3900万円。高山氏は増収減益の要因について、人員増強や広告展開などで販管費が増加したことを挙げるとともに、主力の個人旅行事業でハワイを中心に価格競争が激化したことを説明。一方、法人旅行は「上場により会社の信用力が高まった」ことで好調に推移し、インバウンド旅行も好調だったという。

 19年3月期の予想は、売上高が19.4%増の289億6000万円、営業利益が31.2%増の1億700万円、経常利益が43.8%増の1億円、当期純利益が62.3%増の6300万円。システム投資や人員増強などによる費用増を見込んでいるが、「トラベル・コンシェルジュ」による対応力向上と、このほど子会社化を決定したバリの旅行会社やベトナムの現地法人を活用した、現地から日本を含む海外への旅行需要の取り込みをはかり、増収増益をめざす。

※2017年9月末におこなわれた1対2の株式分割を反映。もともとはいずれも2倍の数値