豪州、パース線復活へ活動強化、旅行会社の販売に期待も-商談会開幕
オーストラリア政府観光局(TA)主催の旅行業界向けイベント「AUSTRALIAN TOURISM EXCHANGE(ATE)」が4月16日に開幕した。第39回となる今年は昨年8月に改修・拡張を済ませたアデレードコンベンションセンターを会場とし、現地の観光関係業者や観光局などの540社を代表する1600人のサプライヤーと、30ヶ国以上から参加した650人のバイヤーが集まり商談を開始した。日本の旅行会社及び現地法人からも35人が参加。昨年はシドニー開催ということもあり、出展者数などがそれまでの9年間で最大規模となったが、アデレード開催の今年もほぼ同規模での開催となった。
サプライヤー側の出展意欲の高さの背景には、オーストラリアへのインバウンド市場の好調ぶりがある。訪豪外国人旅行者数は14年が前年比6.8%、15年同7.6%、16年同11%と伸びており、ATE本局局長のジョン・オサリバン氏が「成功を収め、レコードイヤーとなった」と説明する17年は、初めて800万人台を記録した一昨年を6.5%上回る881万800人と過去最高を塗り替えた。
こうしたオーストラリア全体の好調さに日本市場も貢献している。TAによると、日本を含む訪豪旅行者数の上位5ヶ国だけで外国人観光消費額全体の50%を占めており、5位の日本は17年に前年比4.0%増の43万4404人を送客し、伸び率では上位5ヶ国の中で中国12.2%増、米国9.0%増に次ぐ第3位となっている。
ATEの会場で日本からのメディアの取材に応じたTA本局エグゼクティブ・ジェネラルマネージャーのフィリッパ・ハリソン氏は、日本人旅行者の増加について「オーストラリアが安全・安心なデスティネーションとして日本で信頼を得ていることと、過去12ヶ月間に、日本航空(JL)の成田/メルボルン線(9月)とカンタス航空(QF)の関空/シドニー線(12月)の2つの直行便就航があったこと」を大きな理由として列挙。12月の関空/シドニー線に関しては、18年1月の訪豪日本人旅行者数が前年比9%増となったのもその効果の持続との分析だ。
一方で17年の日豪間の航空座席供給力が11%増となったのに対し、訪豪旅行者数の伸びが4.0%にとどまったのも事実。日豪両市場への座席配分は航空会社の営業方針にも左右されるため一概にはいえないものの、日本の旅行業界にも送客拡大の余地があるといえそうだ。
いずれにしてもTAでは、さらなる座席供給の拡大を最重要課題の一つに挙げ、「日本からの直行便が就航する5都市はいずれも東海岸にあるため、直行便がない西海岸への就航実現に向けて、西オーストラリア州と共に取り組んでいきたい」(ハリソン氏)としている。
西オーストラリア州の州都であるパースへは、QFが2011年5月に成田から直行便を運航していたが、その後はオフラインの状態が続いているところ。日本サイドでも「国土交通省航空局への提出資料の作成や、空港に対する航空会社支援策の要請、旅行会社への支援を通じた需要喚起、各航空会社への働きかけなど、さまざまな取り組みを行っていく」(TA日本局長・中沢祥行・ジョー氏)方針だ。
新規就航の見通しは明らかではないが、いずれにしても18年は一昨年や昨年のように大幅な座席供給力の拡大とはならず「スローな成長になる」(ハリソン氏)との見立てに加え、「安定的な成長とハイイールドな旅行者の取り込みを重視する」(同)との方針から、18年の日本市場に関しては1ケタ台の伸びを見込んでいる。